グーグルは6月19日(現地時間)、イギリス・ロンドンにあるウォレス・コレクションが、同社の「Google Arts & Culture」で公開されたと発表した。ウォレス・コレクションは、世界有数の美術品、装飾美術、武器防具のコレクションを所蔵することで知られている。
今回の提携は同コレクションの125周年を記念するもので、5500点を超える所蔵品の一部がデジタル化され、オンラインで誰でも詳細に鑑賞できるようになった。
圧巻のディテール、歴史的な武器防具の装飾も鮮明に
今回の目玉は、59点の作品を超高解像度のギガピクセル技術で撮影したデジタル画像だ。これにより、肉眼では捉えきれない絵画の筆致や素材の質感、経年による微細な変化まで確認できる。特に、ゲームやファンタジー作品のクリエイターにとってインスピレーションの源泉となる武器防具のコレクションは必見だ。精巧な彫刻が施された甲冑や、宝石がちりばめられた短剣のきらめきなど、そのディテールを心ゆくまで拡大して観察できる。
さらに、50のテーマで構成されたデジタルストーリーも公開されている。レンブラントやベラスケスといった巨匠の作品解説はもちろん、「ムガル帝国の宝石付き短剣」や「シーク教徒の武器防具」といった特定のテーマを深く掘り下げたコンテンツも用意されている。これらのストーリーは、単に作品を鑑賞するだけでなく、その背景にある歴史や文化、職人たちの技術への理解を深めるのに役立つだろう。
このほかにも、スマートフォンが仮想の3Dギャラリーになる「ポケットギャラリー」機能を使った展覧会「アートの中の動物たち」や、アートと対話するようなユニークな体験ができる「ウォレス・コレクションからのささやき」など、インタラクティブなコンテンツも充実している。
今回のプロジェクトは、物理的に美術館を訪れることができない世界中の人々に向けて、その門戸をデジタルで開放するものだ。クリエイターや歴史ファンにとって、本物の武具や美術品のデザイン、質感を研究する絶好の機会となるだろう。
