6軸ジンバルモジュールを搭載しながら、画面サイズが大型化しハイエンドスマートフォンらしいリニューアルが図られた「Zenfone 11 Ultra」。そのZenfone 11 Ultraの路線を踏襲し、新たなASUSのフラッグシップモデルとして登場した「Zenfone 12 Ultra」は、ベースの性能強化に加えカメラや本体機能にAI技術を取り入れ、よりAI色が強いスマートフォンへと進化している。実機からその内容を確認してみよう。
6.78型の大画面は継続、背面はシンプルに
まずは本体について確認すると、Zenfone 12 Ultraは6.78型の有機ELディスプレーを搭載しており、サイズは約77.0×163.8×8.9mm、重さは220g。Zenfone 11 Ultraも同じ6.78型のディスプレーを搭載し、サイズが約76.8×163.8×8.9mm、重さは約225gであったことから、やや軽くなっているがおおむねサイズ感は変わらない。
それゆえ「Zenfone 10」までのコンパクトさはなく、一般的なハイエンドモデルと同じサイズ感となる。個性を求めるなら残念だが、性能の高いスマートフォンを求めるなら満足感は高いだろう。
一方の背面は、マット調のさらさらした触感であることはZenfone 11 Ultraと変わっていないものの、Zenfone 11 Ultraでは大きく刻印されていたASUSの「Aモノグラム」がなくなり、シンプルに「ASUS Zenfone」と小さく記述されるのみとなっている。
その分デザイン面でのインパクトは薄くなった感はある。ただAモノグラム自体はカメラ部分に小さく刻印されており、ASUS製品であることをしっかり象徴している。
またZenfone 12 Ultraも、Zenfone 11 Ultraと同様にゲーミングスマートフォン「ROG Phone」の最新モデル「ROG Phone 9」と共通化が図られている部分が多い。そのことを象徴しているのが底面で、USB Type-C端子がROG Phone 9と同様に正面から見て左側に位置するほか、ハイエンドモデルからは姿を消しつつある3.5mmのイヤホン端子が搭載されている。
一方で、ROG Phone 9にある「AirTrigger」用の超音波センサーや、背面の「AniMe Vision」などはさすがに搭載されていない。なお、ROG Phone 9にはAirTriggerをカメラのシャッターとして用いる仕組みが備わっていたが、それが利用できない点はやや残念だ。
カメラは性能進化よりAIの活用に重点
続いてカメラを確認すると、背面のカメラは5000万画素/F値1.9の広角カメラと、1300万画素/F値2.2(Exif値より)の超広角カメラ、そして3200万画素/F値2.4の望遠カメラの3眼構成。フロントカメラは3200万画素/F値2(Exif値より)の1眼構成となる。
広角カメラのイメージセンサーには1/1.56型とよりサイズが大きいソニー製の「LYT-700」を搭載するほか、6軸ジンバルスタビライザーを搭載しており、暗所や動きのあるシーンでの手ブレに強い点は変わっていない。
一方で、Zenfone 12 Ultraが力を入れているのがAI技術の活用だ。具体的にはAI技術の活用で鮮明な10倍ズーム写真を撮影できる「AIハイパークラリティ」や、ROG Phone 9シリーズで追加された、動く被写体の背景を流して疾走感のある写真を撮影できる「AI流し撮り」などが用意されている。
それに加えて動画に関しても、AIを活用した機能がいくつか追加されている。動く被写体を自動で中央に捉える「AIトラッキング」のほか、暗所でポートレート動画を撮影する際、背景に効果的な玉ボケ効果を加える「AIポートレート動画2.0」、そしてAIが動画の音声のノイズを低減する「AIボイスクラリティ」などだ。
ただ、動画関連の機能は利用シーンが限られるため少々使いづらさも感じる。AIトラッキングは撮影開始時に被写体の全身を捉える必要があるし、AIポートレート動画2.0が有効に機能するのも、背景が暗い時などに限られる。それぞれの機能が通常の「動画」に統合されている訳ではなく、別のモードとなっていることも使いづらさを感じる要因といえるだろう。
撮影後に利用できる機能としても、写真内の不要なオブジェクトを消すことができる「AI消しゴム」や、手ブレした写真を補正する「AIピンボケ補正」などを用意。カメラの性能向上には限界もあるだけに、AIの活用により重点を置いて進化させようとしている様子は伝わってくる。
ただ、AI消しゴムで対象のオブジェクトを選択しようとすると、細かな部分の選択でうまくいかないケースが生じたり、オブジェクトを消してその跡を埋め合わせた部分が不自然なケースが生じたりすることが比較的多い。AI関連機能の多くはベータ版となっているだけに、今後の進化や改善に期待したい。
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