帝国データバンクは6月10日、家庭でカレーライスを作る際に必要な原材料や光熱費などのコストを全国平均で算出した「カレーライス物価」を発表。2025年4月時点では1食429円に達した。前年同月の321円から108円も上昇しており、過去10年で最も高い水準だ。前月からも8円値上がりしており、13カ月連続で最高値を更新しただけでなく、前年からの増加額は過去10年で最大となった。
値上がりの主な要因は、コメ価格の急騰と野菜類の高騰だ。特にごはんのコストは、前年同月の93円から185円へと倍近く跳ね上がり、過去最高値を記録した。ニンジンやジャガイモなどカレーの主な具材も、天候不順や産地切り替えによる品薄感から大幅に値上がりし、具材コストは215円(前年同月199円)と過去10年で最高となった。一方、水道光熱費やカレールーの価格はほとんど変動がなかった。
カレーライス物価を2020年平均を100とした指数で見ると、2025年4月は156.7と、5年間で約6割、10年前(2015年4月:255円)からは約7割も値上がりしている。前年同月比で33.6%高く、23カ月連続で前年を上回るなど、食卓への物価高の影響が加速している。
今後の見通しとしては、野菜や輸入牛肉、カレールーも値上がり傾向が続いており、5月のカレーライス物価は1食448円へ上昇する見込みだ。しかし、政府がコメ価格の安定を図るため「備蓄米」の放出を始めたことで、コメの店頭価格に下げ圧力がかかっている。この影響を受け、備蓄米を使った場合にはカレーライス物価が最大で2割安くなり、1食300円台前半まで低下する可能性もあると試算されている。ただ、2023年の200円台前半まで戻る可能性は低く、食卓では中長期的な物価高の影響が続くとみられる。
