一昔前は多くのPCメーカーがスマートフォンを出していましたが、最近ではASUSが目立つ程度です。5月に台湾・台北で行なわれた「COMPUTEX TAIPEI 2025」でもスマートフォンの展示はそのASUSの「Zenfone 12 Ultra」や「ROG Phone 9」程度でした。
ASUSのライバルと言えるAcer(エイサー)のブースでもモバイル関連の製品はスマートリングやモバイルルーター程度。ところがそのAcerから、5Gスマートフォンが登場したのです。
Acerの5Gスマートフォンは5月末にインドで発表されました。モデル名は「Acer Super ZX 5G」。チップセットにMediaTekのDimensity 6300を搭載するエントリーモデルで、ディスプレーは6.78型、解像度は2400×1080ドット、フロントカメラは画素数不明。メモリー4GBにストレージ128GBの最小構成価格は9999ルピー(約1万7000円)です。
カメラは6400万画素広角に200万画素マクロと200万画素深度の3つ。実質1眼ですが、価格を考えれば妥当なところ。カメラバンプデザインは最近流行の円形で、円周部のローレット処理が美しく安っぽさを感じさせないデザインです。製品紹介ページを見るとこのスマートフォンはメイドイン・インドとのこと。
本体サイズは厚さが8.6mm、重量は200g。やや重いのが気になるところですが、全体の質感は高級感ありそうなので、むしろこの重さは気にならないかもしれません。実機をぜひ見てみたいのですが、Acerの母国台湾でも売られていませんし、現時点ではインドに行かなくてはなりません。
ところでAcerは中南米でもスマートフォンを販売しています。ただし、5G対応モデルはなく、4Gや3Gのエントリーモデルばかり。PCでのブランド力を武器にボリュームゾーン向けにスマートフォンを出しているわけです。2024年末にはA62シリーズを出すなど、地道に製品を増やしています(エイサー(acer)のスマホが中南米で復活、7機種のラインナップでシェア拡大を狙う)。
一方ではAcerの子会社で空気清浄機などを手掛けるAcerpureから「Acerone Liquid」シリーズが3月に発表されていますが、どの国で販売されるか不明です。
このようにAcerのスマートフォンはグローバル展開向けのモデルはなく、国や地域別に様々な製品展開が行なわれています。これは一部の国で販売されている現代=Hyundai(ヒョンデ)のスマートフォンと同様で、ブランド力のある名前を冠したスマートフォンを出すことで販売数を稼ごうということなのでしょう。
Acerの5Gスマートフォンもインドでしか登場せず、ほかの国で販売される予定はないと思われます。日本のAcerのPCユーザーがAcerのスマートフォンをセットで使う、なんて日が来るのはまだ遠い未来になりそうです。

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