“事前構築済みエージェント”提供などで、AIエージェント本番適用時の課題を解消するアプローチ
IBM「企業業務の25%は“完全自動化”できる」 AIエージェント戦略と新製品を紹介
2025年05月26日 12時15分更新
「すぐ使える」「すぐ構築できる」エージェント、他社とのオープンな連携も
同社テクノロジー事業本部でData and AIエバンジェリストを務める田中孝氏は、ビジネス向けAIエージェントの開発を支援する統合スタジオ製品「watsonx.orchestrate」の説明を行った。
同製品は2023年から提供されているが、現在のAIエージェントに対する顧客ニーズをふまえて、今回のThink 2025では機能強化が発表されている。その機能強化点を、田中氏は「すぐ使えるエージェント」「すぐ構築できるエージェント」「複数エージェントの連携」という3つにまとめた。
1つめの「すぐ使えるエージェント」は、watsonx.orchestrateが備えるカタログ機能「Agent Catalog」を通じて、事前構築済みの業務特化型AIエージェント(現時点で150以上)が提供されることを指す。さらに、SalesforceやSAPといった外部SaaS上のAIエージェントとの連携を実現するコネクタも、オープンなパートナーエコシステムに基づき拡大していく方針だ。
2つめの「すぐ構築できるエージェント」は、業務ユーザー自身でもカスタムエージェントを容易に構築できるようにする。具体的には、ノーコード構築ツール「Agent Builder」や、開発者向けのADK(Agent Development Kit)の提供を開始している。
最後の「複数エージェントの連携」は、他社のAIエージェントを含めて統合/協調動作させる機能群だ。単一のユーザーインタフェースへの統合、ユーザーリクエストを最適なエージェントに振り分ける「ルーティング」だけでなく、複数のエージェントを連携させて複雑なタスクを実行させるという、高度なオーケストレーションも行うとした。
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質疑応答の中で田中氏は、AIエージェント/エージェント型AI領域における“IBMならでは”の強みとして、「IBM社内でのAI業務適用の知見もふまえた事前構築済みエージェントの提供」「サードパーティのエージェント基盤とも積極的に連携するオープンなアプローチ」「AIの信頼性、ガバナンスに対する長期にわたる取り組み」を挙げた。
AIの信頼性/ガバナンスについては、既存製品である「watsonx.governace」にAIエージェントのガバナンス機能を追加することも発表されている。田中氏は、開発/テスト段階の証跡保存も含むAIエージェントのライフサイクル管理機能、AIエージェントのタスク実行性能を評価する機能などの追加によって、「本番業務の中でのAIエージェント活用を支援していく」と説明した。














