Acerが5Gモバイルルーターで市場に再参入、日本では家電やアパレルでも事業機会を探る
2025年05月22日 08時00分更新
5Gモバイルルーターで市場に再参入
続いて、各製品分野の担当役員への質疑応答が行なわれた。
ノートブック事業のJames K Lin氏は、AI PCの投入について説明。PCへのAI機能搭載は、ユーザーがデバイスの能力を理解し、より専門的なソフトウェアを利用するきっかけを提供するという方向性であるとし、すべてのAI機能をプリロードするのではなく、ユーティリティツールとしてアップデートやダウンロードで提供していく方針だとした。
Chromebookについては、全世界的には市場が縮小傾向にあるものの、Acerは米国、インド、アジア諸国で成長を続けており、Windowsベースの製品と同様に重要な製品ラインであると述べた。また、軽量ノートPCのトレンドについては、1kg以下の製品も提供しつつ、軽量化とコスト、堅牢性、バッテリー寿命のバランスが重要だとした。
Acer Gadget部門プレジデントのAllen Jong氏は、スマートリング「Acer FreeSense Ring」や翻訳イヤホン「Acer AI TransBuds」といったエッジデバイス開発の背景として、AIアプリケーションの活用が拡大する年であるとの認識を示した。ウェアラブルを含むこれらのデバイスがデータを収集し、AIを活用してユーザーの日常に価値をもたらすことを目指している。
最初の製品としてスマートリングとイヤホンを選んだのは、競合の多いウォッチ市場と差別化を図るためであり、多様なフォームファクターを提供するためである。エコシステム戦略については、XiaomiやHuaweiのようなデバイス全体を囲い込むのではなく、Acer製品だけでなく、他のデバイスでも使える製品(One for All devices)を目指している。「Acer AI TransBuds」はどのスマートフォンやタブレットにも接続でき、複数のプラットフォームやアプリでリアルタイム翻訳が可能だと説明した。
コネクティビティ担当のEric YL Huang氏は、過去のスマートフォン事業の経験を生かし、コネクティビティ製品への再参入を図っていると説明した。最初の製品ラインは5G MiFi(My WiFi:ポータブル無線ルーター)であり、IP68防水防塵、NFCを搭載し、第4四半期にはAI機能を追加予定である。
これはスマートフォンがなくてもカメラやノートPCなどが常時接続できる利用シーンを想定しており、ホテルのWi-Fiに接続して独自のSSIDを提供するWi-Fi Extender機能も第4四半期に追加されるという。ただしスマートフォン自体の市場再参入については、インドでの事例はブランドライセンス供与であり、現時点で新たなスマートフォン投入計画はないとした。

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