VRAMは16GBにしておけ

GeForce RTX 5060 Ti 8GBは今のPCゲーム環境では“理”のある選択ではない

2025年05月06日 10時00分更新

「Overwatch 2」

　Overwatch 2では、APIはDirectX 11、画質は「エピック」をベースにレンダースケール（RS）を100％、フレームレート上限を600fpsに設定。マップ「Eichenwalde」におけるBotマッチを観戦中のフレームレートを計測した。

GeForce RTX 5060 Ti 8GBは今のPCゲーム環境では“理”のある選択ではない

Overwatch 2：1920x1080ドット時のフレームレート

Overwatch 2：2560x1440ドット時のフレームレート

Overwatch 2：3840x2160ドット時のフレームレート

　Apex Legendsに続き、ここでもVRAM搭載量の違いはフレームレートに影響していない。VRAM使用量の平均値はフルHD時で約5.3GB、4Kでも6.9GBとおとなしいため、RTX 5060 Ti 8GBでも十分戦えると言える。こうしたゲームが中心であれば、1万円高いRTX 5060 Ti 16GBにこだわる必要はない、と言えるかもしれない。

　一方で、Overwatch 2は先のApex LegendsよりもGPUパワーを使う設計のようだ。RTX 4060 Ti 8GBやRTX 4060といった前世代GeForceから見たRTX 5060 Ti 8GBの伸び率はApex Legendsよりも拡がっている。

Overwatch 2：ベンチマーク中におけるTBPの平均値（左3つ。単位：W）、および10Wあたりのフレームレート（右3つ。単位：fps）

　先ほどのGPUパワーをより使う傾向にある、という話はこのTBPの一覧にも表れている。フルHDの段階でRTX 5060 TiのTGP（Total Graphics Power）公称値である180W枠をほぼ使い切っている。ただし、ワットパフォーマンス的にはRTX 4060〜RTX 5060 Ti 16GBまで大きな差はない。

「Call of Duty (Black Ops 6)」

　Call of Dutyは「Black Ops 6」を使用した。最も重い画質「極限」に設定すると、フルHD時ですらVRAM使用量は平均12.5GBになるため、2段下げた「バランス重視」設定も追加。ゲーム内ベンチマーク再生時のフレームレートを計測した。

Call of Duty (Black Ops 6)：1920x1080ドット時のフレームレート。画質中程度の場合

Call of Duty (Black Ops 6)：2560x1440ドット時のフレームレート。画質中程度の場合

Call of Duty (Black Ops 6)：3840x2160ドット時のフレームレート。画質中程度の場合

　まず画質を中程度の「バランス重視」設定にして、VRAM平均使用量を7.5GBに抑えた場合の結果だが、これはApex LegendsやOverwatch 2と似たような傾向になった。つまり、RTX 5060 Ti 8GBのフレームレートは同16GBとほぼ同じである。

　4KになるとVRAM平均使用量は約8.7GBにまで増大するが、特にこれがハンデになっている様子もない。ただし、現実的にRTX 5060 Ti 8GBでプレイするとすれば、NVIDIAの思惑通りフルHDかWQHDまでとなるだろう。

Call of Duty (Black Ops 6)：1920x1080ドット時のフレームレート。最高画質設定の場合

Call of Duty (Black Ops 6)：2560x1440ドット時のフレームレート。最高画質設定の場合

Call of Duty (Black Ops 6)：3840x2160ドット時のフレームレート。最高画質設定の場合

　では、最高画質の「極限」ではどうか？　VRAM平均使用量はフルHDで約12.5GBのため、RTX 5060 Ti 8GBは大きく落ち込むと思っていたが、実際はそうならなかった。最低フレームレートの落ち込みはややあるものの、RTX 5060 Ti 16GBと8GBの間にほとんど差がない。

　さらに言えば、RTX 4060 Ti 8GBとの差も小さい。このBlack Ops 6でRTX 4060 Ti 8GBと差がつかない問題についてはRTX 5060 Ti 16GBレビューでも観測したが、VRAM 8GB版でも同様の結果が得られた。つまり、VRAMの使用量自体はさほど大きな問題ではなく、GeForceの使われ方にクセがあるということだ。