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GeForce RTX 50シリーズまとめ 第28回

最高画質設定だとVRAM 12GBでは足りないゲームが結構ある

GeForce RTX 5060 Ti 16GBをゲーム13本で性能検証、RTX 5070の微妙な立ち位置が浮き彫りに

2025年04月23日 11時30分更新

文● 加藤勝明(KTU) 編集●ジサトライッペイ/ASCII

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「Indiana Jones and the Great Circle」

 Indiana Jones and the Great Circleは、レイトレーシングよりさらに重いパストレーシングを利用できるゲームだが、GPUパワーに対する要求が極めて高い。RTX 5090クラスだと「超ウルトラ」設定でもいけるが、今回はRTX 5060 Ti 16GBのため、特例として画質は「高」、パストレーシングも「高」設定に下げた。

 また、DLSSは「クオリティー」にしてフレーム生成も有効化。RTX 3060 TiおよびRTX 2060 SUPERはFSR 3のフレーム生成を利用。マップ「サンタンジェロ城」内の一定のコースを移動した際のフレームレートを計測した。

GeForce RTX 5060 Ti 16GBをゲーム13本で性能検証、RTX 5070の微妙な立ち位置が浮き彫りに

Indiana Jones and the Great Circle:1920x1080ドット時のフレームレート

GeForce RTX 5060 Ti 16GBをゲーム13本で性能検証、RTX 5070の微妙な立ち位置が浮き彫りに

Indiana Jones and the Great Circle:2560x1440ドット時のフレームレート

GeForce RTX 5060 Ti 16GBをゲーム13本で性能検証、RTX 5070の微妙な立ち位置が浮き彫りに

Indiana Jones and the Great Circle:3840x2160ドット時のフレームレート

 これまでの経験からVRAM 12GBのRTX 5070ではWQHDが限界、4K+パストレーシングありで動かすにはVRAMは16GB必要とわかっていたが、今回の画質設定でも同様であった。加えて、VRAM 8GBのRTX 4060 Ti 8GB〜RTX 2060 SUPERまでの3モデルに関しては、フルHDでもゲームを起動させることすら不可能である(エラーが出て強制終了する)。

 フルHDにおいて、RTX 5070はRTX 5060 Ti 16GBに対して30%程度高いフレームレートを出せたが、WQHDではVRAMの使用量が激増(12〜13GB)。4KではRTX 5070の重さは限界を超え、メニュー操作すらままならなくなる。

 ただし、RTX 5060 Ti 16GBはDLSS MFG 3xを併用して4Kで平均60fps出ているが、実際には操作に対する描画のラグが大きく実用的ではない。今回の検証条件だと、RTX 5060 Ti 16GBでもWQHDまで、という設計コンセプトが計らずとも裏付けられた。

 ただし、RTX 4060 Ti 8GBの名誉のために付記しておけば、パストレーシングなしで実行すればVRAM 8GB環境でも動かすことはできる。しかし、筆者はゲームの画質は可能な限り盛り、クリエイターの表現したいものを100%摂取したいという姿勢でゲームに挑んでいる。

 そのため、パストレーシングなしでIndiana Jonesをテストすることは(筆者としては)許しがたい所業である。ゲームに数千円、ビデオカードに10万円投資して“あなたのシステムでは特定の設定は事実上使えません”は通らないのだ(偏屈な筆者の主観である)。

GeForce RTX 5060 Ti 16GBをゲーム13本で性能検証、RTX 5070の微妙な立ち位置が浮き彫りに

Indiana Jones and the Great Circle:ベンチマーク中におけるTBPの平均値(単位:W)、および10Wあたりのワットパフォーマンス(単位:fps)

 動かなかった解像度とGPUの組み合わせが多かったので、ゼロの項目が多い。RTX 5070がフルHDで200W程度なのにWQHDでは95Wに激減している理由、VRAM不足で描画作業が止まってしまったからだ。RTX 5060 Ti 16GBに関しては、フルスペックで電力を使って処理しているということがわかる。

「Half-Life 2 RTX」

 2004年に発売した名作「Half-Life 2」を、NVIDIAの「RTX Remix」を利用してリマスタリングしたタイトルだ。このリマスター版ではAIを利用して間接光の反射を計算する、ニューラルレンダリング技術「Neural Radiance Cache」を採用している。RTX 50シリーズはニューラルレンダリング時代を見据えた設計のため、RTX 4060 Ti 8GBとどの程度フレームレートに差がつくか注目したい。

 画質は「Ultra」、DLSSは「クオリティー」にしてフレーム生成も追加した。DLSS 4の学習モデルはTransformerを選択。マップ「NOVA PROSPECT」で一定のコースを移動した際のフレームレートを計測した。

GeForce RTX 5060 Ti 16GBをゲーム13本で性能検証、RTX 5070の微妙な立ち位置が浮き彫りに

Half-Life 2 RTX:1920x1080ドット時のフレームレート

GeForce RTX 5060 Ti 16GBをゲーム13本で性能検証、RTX 5070の微妙な立ち位置が浮き彫りに

Half-Life 2 RTX:2560x1440ドット時のフレームレート

GeForce RTX 5060 Ti 16GBをゲーム13本で性能検証、RTX 5070の微妙な立ち位置が浮き彫りに

Half-Life 2 RTX:3840x2160ドット時のフレームレート

 Indiana JonesよりずっとVRAMの要求量が低いため、VRAM 8GBのRTX 4060 Ti 8GBでも動作し、RTX 5070は常にRTX 5060 Ti 16GBを上回っている。全解像度においてRTX 3060 Ti以下のフレームレートがまったく伸びない理由は、GPUの世代的にDLSS FGが利用できず、かつHalf-Life 2 RTXがFSR 3 FGに対応していないためだ。

 また、RTX 4060 Ti 8GBはWQHDこそRTX 5060 Ti 16GBの12%落ち程度だが、4KになるとVRAM不足から大きくフレームレートを落としている。ただし、RTX 5060 Ti 16GBでもHalf-Life 2 RTXを4Kで動かすことは現実的とは言えず、MFG 3xを併用する前提でWQHDが限界だろう。

GeForce RTX 5060 Ti 16GBをゲーム13本で性能検証、RTX 5070の微妙な立ち位置が浮き彫りに

Half-Life 2 RTX:ベンチマーク中におけるTBPの平均値(単位:W)、および10Wあたりのワットパフォーマンス(単位:fps)

 TBPの傾向はほぼ同じ。RTX 5060 Ti 16GBとRTX 4060 Ti 8GB(ともにDLSS FG利用時)のワットパフォーマンスはWQHDまでほぼ同じだが、RTX 4060 Ti 8GBがVRAM不足で息切れする4Kに限り、RTX 5060 Ti 16GBのワットパフォーマンスがRTX 4060 Ti 8GBを上回る。

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