RTX 5060 TiはVRAM 16GB版と8GB版を4月16日から同時展開
NVIDIAがGeForce RTX 5060 Ti&RTX 5060を投入、299〜429ドル帯の最新GPU
2025年04月15日 22時00分更新
2025年4月15日22時(日本時間)、NVIDIAは「GeForce RTX 50シリーズ」のラインナップを拡充した。今回発表したGPUは「GeForce RTX 5060 Ti」(以下、RTX 5060 Tiと略)と、「GeForce RTX 5060」(以下、RTX 5060と略)だが、RTX 5060 TiにはVRAM容量違いとなる16GB版と8GB版が存在する。
発売日はRTX 5060 Tiが4月16日22時(以降)で確定しているが、RTX 5060に関しては「5月中」とだけアナウンスしている。北米予想価格はRTX 5060 Ti 16GBが429ドル、RTX 5060 Ti 8GBが379ドル、RTX 5060が299ドルとなっているものの、本邦における国内販売価格については不明だ。
歴代の「xx60番台」GeForceの相対性能比較。5000万人以上のゲーマーはまだGTX 1060〜RTX 3060を使用しているが、RTX 5060 TiやRTX 5060に乗り換えることでとてつもないパワーアップになるという。暗い緑はDLSSなしの性能、明るい緑がDLSSありの性能(当然フレーム生成も含む)を示す。暗い緑の点だけを比較しても、RTX 2060からRTX 5060に買い替えるだけで倍程度の性能になっている
メモリーバス幅は128bit据え置きだがメモリー帯域は激増
RTX 5060 Tiに関しては、VRAM 16GB版と8GB版が同時に登場した点が興味深い。RTX 4060 Tiでも同様の施策だったが、16GB版はやや遅れて投入していた。RTX 5060 Tiは16GB版と8GB版は基本スペックがまったく同じ。そのため、VRAM消費量が控えめなゲームであれば、8GB版でも問題ないと言える。
RTX 5060 TiやRTX 5060は前世代よりもSM(Streaming Multiprocessor)が多いので、そこに内包するCUDAコアやRTコアもすべて前世代より増加している。RTX 5080はRTX 4080 SUPERとスペックがかなり近いため、テスト条件によっては差が開かないこともあるが、RTX 5060 TiやRTX 5060に関しては確実に性能向上が実感できるだろう。
また、RTX 5060 TiやRTX 5060のVRAMまわりの設計に目を向けると、メモリーバス幅は128bitと細いものの、データレート28GbpsのGDDR7を採用することで、448GB/secものメモリー帯域を確保している。RTX 3060 Tiは448GB/secだったが、RTX 4060 Tiでは288GB/secに低下(256bit幅→128bit幅の制限に起因)した。それが再びRTX 5060 Tiで448GB/secに戻るった形だ。
つまり、RTX 4060やRTX 4060 TiはフルHDゲーミング向けのGPUであったが、RTX 5060やRTX 5060 TiはWQHDでも戦えるメモリー帯域を手に入れたのだ。とはいえ、ユーザー側としてはSM数などのスペックは高いが、VRAMが12GBのRTX 5070と、スペックは控えめだがVRAMが16GBと多いRTX 5060 Ti 16GBのどちらを選ぶかは悩ましい。
WQHDまでのゲームプレイであればRTX 5070が常に有利だし、ごく一部の超重量級ゲームの4K&最高設定という限られた条件であれば、RTX 5060 Ti 16GBが有利になる可能性はある。だが、そこまで極まった条件設定が現実的かどうかは怪しいところだ。
どちらかと言えば、LLM(大規模言語モデル)のローカル環境を低予算で作りたい人。あるいは、「DaVinci Resolve Studio」のようなVRAMの容量がカギになるような動画編集アプリを使う人に、RTX 5060 Ti 16GBは要注目のGPUとなるだろう。
なお、マザーボードとの接続インターフェースはPCI Express 5.0(Gen 5)に格上げされたが、レーン数に関してはRTX 4060 Tiなどと同じ8レーン接続のままである。PCI Express 4.0(Gen 4)環境との性能差が気になるが、それはのちほど掲載するパフォーマンス検証をお待ちいただきたい。
気になる性能に関してもNVIDIAの資料から少し考察しておこう。RTX 40シリーズと比較した場合、DLSS MFGに対応したゲームであれば最大2倍程度の差になるが、そうでない場合は20%程度の差にとどまる。ただし、フレームレートが上昇するだけではなく、E-Eシステムレイテンシー(プレイヤーの操作が画面に反映されるまでのラグ)も短縮する、という点をNVIDIAは強調している。
RTX 5060 Ti(8GB版か16GB版かは不明)とRTX 4060 TiとRTX 3060 Tiをフレームレート(右側バー)およびE-Eシステムレイテンシー(左側バー)で比較した結果(解像度はWQHD、最高画質)。DLSS系の技術に対応しない「Delta Force」やDLSS FGにしか対応しない「A Plague Tale: Requiem」では、RTX 5060 Tiの伸び率はせいぜい20%といったところだが、DLSS MFGに対応したゲームでは圧倒的有利だ。そして、DLSS MFGを利用していても、E-Eシステムレイテンシーは有利(バーが短い)という点をNVIDIAは訴えている

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