スポーツ分野におけるXR(VR、AR、MR、メタバース)技術の活用例が増加している。例えば試合の中継映像の多様化や、スタジアムでの新しい観戦体験の創出など、さまざまなシーンでの利用が進んでいる。
XR技術を活用したソリューションを提供するアルファコードは、プロスポーツ選手の視点をVRで再現する事業で注目を集めている企業だ。
サッカーや野球でVRを活用
「アルファコード」は、2024年10月に開催された日テレ・東京ヴェルディベレーザの試合会場で、「プロサッカー選手の視点を体験できる」という、特別ブースを出展。
「プロサッカー選手の華麗なパスや力強いシュートを、最新のVR技術を駆使してリアルに体感できる」というもので、参加者はVRゴーグルを装備することで、普段体験することができないプロの技術を目の当たりにすることができた。
また、同じく「選手のプレーを間近で感じる」という取り組みとして、2024年4月25日に行なわれた巨人-中日戦での、「自由視点映像のVRライブ配信」が挙げられる。
もともと東京ドーム内には「ボリュメトリックビデオシステム」という、100台以上の専用カメラで撮影した映像をつなげて3D映像を生成し、360度好きな角度から見られるシステムを導入している。
2024年4月25日の試合では、より迫力のある映像をユーザーが楽しめるようフィールドの中にカメラを設置。キャッチャー視点、ファースト視点、三遊間視点の3アングルの自由視点映像のVRライブ配信を行った。
このライブ配信は超至近距離でのVRが楽しめたこともあり、「自分が守備位置にいるような感覚になった」など、プロ野球ファンから大きな反響があったという。
中には「ずっと審判だけを見続ける」という、通常のテレビ中継ではあり得ないシーンを楽しむユーザーがいるなど、自由視点映像ならではの魅力を広めるきっかけにつながった。
スポーツだけでなく医療分野でもXRを活用
「アルファコード」のコンテンツ責任者である岡村裕之氏によると、特に企業からは「非常に可能性のあるコンテンツ」と高い評価を受けており、今後もさまざまなシーンでの活用が期待される。また、上述のシュートシーン、パス回しのをVR体験会では、臨場感や没入感に感動する声が多く寄せられ、女子サッカーに興味を持ってもらうだけでなく、VRを活用することで、チームの先進性をアピールすることにも成功している。
VRを始めとするXR技術が、今後どのようにスポーツ分野で活用されていくのか、岡村氏によると、「アスリートのトレーニングでXRを活用する例が増えており、今後はスポーツを見る側への活用が広がるはず」とのこと。
「現地で見るというスポーツ観戦の醍醐味をより魅力的なものにするため、XRを活用して臨場感や没入感を高める、また追体験の場を生み出すといった取り組みが増えていく」とのことだ。
例えば観客席ではなく、自分がフィールド内に立っている感覚で視聴できるなど、これまでより一歩進んだ観戦体験も次々に生まれていく可能性が考えられるだろう。
今後の展開について岡村氏は、「主観性のある、これまでにないスポーツ観戦体験を提供していきたい。また、データー取得機能を利用した歩行改善VRなど、医療や教育の分野でのVR活用も進んでいる」としており、「スポーツ以外の分野でのXRの利活用を進めていきたい」としている。
