ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第817回
実現困難と思われていたUCIe互換のチップレット間インターコネクトをTSMCとAMDが共同で発表 ISSCC 2025詳報
2025年03月31日 12時00分更新
UCIeの仕様を満たす結果を残し
不可能な数値ではないことを立証
消費電力の内訳が下の画像だ。消費電力が一番大きいのは送信そのものではなく、送信側のSerDesとFFE/Deskewなどの伝達エラーを改善するための仕組みであり、次いで受信側の信号補正とDeSerとなり、送信そのものは3番目というのはなかなか興味深い。これでBurst Modeで0.6pJ/bitというUCIeの仕様を満たす結果が実現できることを実証したのは素晴らしい。
消費電力の内訳。ちなみに0.6pJ/bitは0.7V動作で16GT/秒以上の場合。12GT/秒以下では0.5pJ/bit、0.5V動作ならそれぞれ0.25pJ/bit、0.3pJ/bitと定義されており、次はこうしたケースの実証に移るのかもしれない
下の画像が今回のまとめである。ちなみに消費電力はClock Gatingを使うと0.46pJ/bitとなり、これは12GT/秒以下の場合の0.5pJ/bitを満足する値である。少なくともTSMCの3nmを利用したダイを利用することで、UCIe 1.1に定義されたAdvanced Packageの仕様を満たすことが可能、という実例を示せたのはかなり大きな成果であろう。
UCIeのI/F IPを提供開始したという発表は複数社(Alphawave Semi/Avery/Cadence/Synopsys)が行なっているのだが、Standard PackageはともかくAdvanced Packageに関しては消費電力が厳しいだけに、どこまで実現できるか疑わしいところもあったのだが、実際に動作させた結果が示されたわけで、実現困難/不可能な数値ではないことが立証できたのは喜ばしいことではある。
ただ逆説的に言えば、UCIeを利用してChipletを構築しようとすると、TSMC N3以降が必要になる、ということかもしれない。Computeチップレットはそれでもいいのだろうが、IOチップレットなどはTSMCのN5やN6を使うケースが多い。こうしたものでも今回と同等のことが可能なのか、それとももっとスピードを落とさないとだめなのか、はまだ議論の余地がありそうだ。
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

この連載の記事
-
第900回
PC
元Samsung副社長が率いるBOSの勝算 Tenstorrent製NPUとオープン規格で挑む車載AI「Eagle-N」 -
第899回
PC
NVLink追撃の現実解「UALoE」 AMD Instinct MI400が挑む次世代ラック実装とBlackwell対抗 -
第898回
PC
AI特化とは一線を画すHPCの怪物! 富士通「Monaka」が目指す3D積層と256bit SVE2の真価 -
第897回
PC
NVIDIA独自コア「Olympus」の真価 Vera CPUが見せたIPC全振りの重厚構造とメモリー帯域依存 -
第896回
PC
Arm自社設計「AGI CPU」の全貌、10-wideデコードと2ダイ構成で見せた優等生的な実力 -
第895回
PC
IBM ZがArmを取り込む衝撃! 次世代メインフレーム「z18(仮)」のネイティブDual-ISA戦略の狙い -
第894回
PC
AMD「Ryzen AI Embedded X100」のリアルタイムAI制御が、Jetsonの弱点であるCPU性能を突く -
第893回
PC
インテル製GPU「Crescent Island」の正体、容量480GBメモリーでエージェント型AIとKVキャッシュ問題に挑む -
第892回
PC
Hot Chipsで明かされた「Wildcat Lake」の全貌 Foverosを捨てMCPを選んだインテルの舞台裏 -
第891回
PC
謎多き次世代Xeon「Diamond Rapids」を解剖、3D Meshの進化と新命令セットAPXがもたらす変革 -
第890回
PC
Samsung「SF2P」の全貌! GAA最大の弱点であるPMOS性能低下を克服し、TSMC追撃へ準備万端 - この連載の一覧へ












