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新清士の「メタバース・プレゼンス」 第99回

無料で使えて超高品質、画像生成AIの最新事情

2025年03月24日 07時00分更新

文● 新清士

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レガシーモデルの「SDXL」がいまだ現役

 illustrious XLの成長が示しているのは、SDXLがリリースから1年8ヵ月が経過しているレガシーモデルとなっているにも関わらず、性能がまだ上がり続けているということですね。SDXLの学習は基本的に並べた「タグ」から画像を生成するモデルです。「Flux1」のように複雑なテキストで指定された文章を解析し、画像を使って生成することは得意ではありません。しかし、根本的な表現力の上昇が、それらを補って余りある能力を得ているのです。

 1年前にSDXLモデルとして有力だった「AnimagineXL」モデルも、1月にv4が公開され、こちらもより品質が上がりました。ハイエンドなモデルに比べて、相対的に軽量で扱いやすいこともあり、SDXLに追加学習をさせて高性能なモデルを作ろうという動きは相変わらず続いています。ControlNetやLoRAなど、自由に画像を生み出すためのSDXLのエコシステムは強く、多数の資産もネット上に存在しており、それらは高性能な新規モデルが簡単にキャッチアップができない点です。また、クラウドを通じての商用化の試みは続いているものの、無償で使えるモデルの多さから、相変わらずローカルモデルとしての人気は変わっていないとも言えます。

 

筆者紹介:新清士(しんきよし)

1970年生まれ。株式会社AI Frog Interactive代表。デジタルハリウッド大学大学院教授。慶應義塾大学商学部及び環境情報学部卒。ゲームジャーナリストとして活躍後、VRマルチプレイ剣戟アクションゲーム「ソード・オブ・ガルガンチュア」の開発を主導。現在は、新作のインディゲームの開発をしている。著書に『メタバースビジネス覇権戦争』(NHK出版新書)がある。

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