配線層はN3世代のものを踏襲するも
SOICへの親和性がさらに高まる
配線に関しては、こちらも詳細は明らかにされなかったが、MoL(Middle of Line:M4~M14位の配線層)の抵抗値と寄生容量の積を55%削減し、これにより動作周波数にして6%の改善が実現したとしている。
抵抗と寄生容量でRC回路が構成され、このRC回路の時定数が律速条件になるという話は連載464回で説明した。つまりRCの積を55%削減したら、時定数が6%減ったということである
また、M1/M2はN3/N3Eと比較して全体の寄生容量を10%減らせたとしている。ただ配線層、基本的にはN3世代のものを踏襲しているようだ。加えて垂直方向の接続を行なうVIAに関しても、抵抗値で25%、RCの積で20%の削減を実現したとする。
VIAも、抵抗値で25%、RCの積で20%の削減。ただし、これがどういう配線構造や材料を利用したのかは未公開のまま。193i 1P/1E(One Patterning/One Etching)なので、ArFのシングルパターニングで実現しているようだ
その配線だが、N2では3次元集積化技術SOICへの親和性がさらに高まったらしい。まず従来だとアルミだったバックエンドの配線はすべて銅ベースになり、SOICを簡単に実現できるようになった。配線も最小で4.5μmにすることが可能になったとする。
N2ではSOICへの親和性がさらに高まった。Zen 3の3D V-Cacheの場合、17μmピッチだったことを連載651回で説明している
ただ以前Zen 3の3D V-Cacheの時にはKOZ(Keep Out Zone:熱などによる歪の影響を避けるために、なにも配線しない領域)が6.2μm×6.3μmとけっこう大きかったのだが、そもそもの配線ピッチが4.5μmまで縮小すると、KOZはどのくらいになるのだろうか? というのはやや疑問だ。
配線全体の断面が下の画像だ。配線層の総数が18層なのがこれでわかった。ちなみにN3では確か16層(M0~M15)だったので、MOLが2層増えたかたちになる。

この連載の記事
-
第852回
PC
Google最新TPU「Ironwood」は前世代比4.7倍の性能向上かつ160Wの低消費電力で圧倒的省エネを実現 -
第851回
PC
Instinct MI400/MI500登場でAI/HPC向けGPUはどう変わる? CoWoS-L採用の詳細も判明 AMD GPUロードマップ -
第850回
デジタル
Zen 6+Zen 6c、そしてZen 7へ! EPYCは256コアへ向かう AMD CPUロードマップ -
第849回
PC
d-MatrixのAIプロセッサーCorsairはNVIDIA GB200に匹敵する性能を600Wの消費電力で実現 -
第848回
PC
消えたTofinoの残響 Intel IPU E2200がつなぐイーサネットの未来 -
第847回
PC
国産プロセッサーのPEZY-SC4sが消費電力わずか212Wで高効率99.2%を記録! 次世代省電力チップの決定版に王手 -
第846回
PC
Eコア288基の次世代Xeon「Clearwater Forest」に見る効率設計の極意 インテル CPUロードマップ -
第845回
PC
最大256MB共有キャッシュ対応で大規模処理も快適! Cuzcoが実現する高性能・拡張自在なRISC-Vプロセッサーの秘密 -
第844回
PC
耐量子暗号対応でセキュリティ強化! IBMのPower11が叶えた高信頼性と高速AI推論 -
第843回
PC
NVIDIAとインテルの協業発表によりGB10のCPUをx86に置き換えた新世代AIチップが登場する? -
第842回
PC
双方向8Tbps伝送の次世代光インターコネクト! AyarLabsのTeraPHYがもたらす革新的光通信の詳細 - この連載の一覧へ













