最新パーツ性能チェック 第459回

ひとまず3DMark＆消費電力を見てみた

Arc B570が4万円台半ばで発売、性能はRTX 4060やRX 7600対抗の本命か【速報検証】

VRAM搭載量にあわせてバス幅も縮小

　Arc B570のスペックは基本的にArc B580のおおよそ1割引。レンダースライス数はArc B580の20基が18基になり、それにあわせ内部のXVEやレイトレーシングユニットなども減っている。動作クロックもやや下がり、結果としてArc B570のTBPは150Wに抑えられた。

　電源ユニットの出力が心許ない旧世代PCのアップグレード用としても使えるが、BIOSでResizable BARあるいはSmart Access Memoryが有効にできないほど古いPCでは性能が出づらい可能性がある。インテルだと第10世代Coreプロセッサー以降、Ryzenなら3000シリーズ（3000Gは除外）以降なら問題なく利用できるだろう（ただし、BIOSの確認は必要だ）。

Arc B570とその近傍GPUのスペック比較

　Arc B570のもう1つの特徴はVRAM搭載量が10GB、メモリーバス幅が160bitに絞られていること。つまり、VRAM 12GBのArc B580と比べ、VRAM使用量の多いシーンでは動作が重くなりやすいことは容易に想像できる。

　メモリーバス幅も192bitから160bitに狭められているため、メモリー帯域も456GB/secから380GB/secに絞られている。Arc B580はWQHD＆高画質ゲーミング向けの製品だが、Arc B570はWQHDでもやや画質を絞る、もしくは高画質設定のままフルHDで快適にゲームを楽しむことを志向した製品と言える。

Arc B580/RTX 4060/RX 7600と性能を比較

　今回の検証環境を紹介しよう。Arc B570はASRock製のファクトリーOCモデル「Intel Arc B570 Challernger 10GB OC」。比較対象のArc B580は前回と同様にインテル製のLimited Editionを用意。ほか、RTX 4060とRX 7600も準備した。

　Arc B580レビュー時との最大の違いは、CPUとマザーボードのチョイスをCore Ultra 9 285K＋インテルZ890搭載マザーボードに変更したほか、OSもWindows 11（24H2）に更新したことだ。特に、Core Ultra 9 285Kはマイクロコード0x114のリリースによる性能改善によるところが大きい。

　また、ドライバーはArcが101.6449/101.6256、GeForceがGameReady 566.36、RadeonがAdrenalin 24.12.1となる。Resiazble BARやSecure Boot、メモリー整合性やHDRなどはひと通り有効化。ディスプレーのリフレッシュレートは144Hzに設定した。

検証環境
CPU	インテル「Core Ultra 9 285K」（24コア/24スレッド、最大5.7GHz)
CPU クーラー	EKWB「EK-Nucleus AIO CR360 Lux D-RGB」 （簡易水冷、360mmラジエーター）
マザー ボード	ASRock「Z890 Taichi」（インテルZ890、BIOS 2.22.AS03）
メモリー	ADATA「LANCER RGB DDR5 AX5U6400C3216G」(16GB×2、DDR5-6400）
ビデオ カード	インテル「Arc B580 Limited Edition」（12GB GDDR6）、 ASRock「Intel Arc B570 Challenger 10GB OC」（10GB GDDR6）、 MSI「GeForce RTX 4060 VENTUS 2X BLACK 8G OC」（8GB GDDR6）、 AMD「Radeon RX 7600リファレンスカード」（8GB GDDR6）
ストレージ	Crucial「T700 CT2000T700SSD3」（2TB M.2 SSD、PCIe 5.0）、 Silicon Power「PCIe Gen3x4 P34A80 SP002TBP34A80M28」（2TB M.2 SSD、PCIe 3.0）×3
電源 ユニット	ASRock「TC-1300T」（1300W、80 PLUS TITANIUM）
OS	Microsoft「Windows 11 Pro」（24H2）

3DMark

　冒頭で述べた通り、今回は時間＆体調的な制約から3DMarkと消費電力の2点だけお伝えする。まずは3DMarkだが、Fire StrikeやSteel Nomadのようなラスタライズ系テストと、Port RoyalやSpeed Wayのレイトレーシング系テストでグラフを分けている。

3DMark：ラスタライズ系テストのスコアー

3DMark：レイトレーシング系テストのスコアー

　回路規模において、「Arc B570はおおよそArc B580の1割引」と書いたが、実際のパフォーマンスの差はもう少し大きくなった。Arc B580から見るとArc B570は15％程度ダウン、テストによっては20％程度下降することもある。それでもRTX 4060やRX 7600といった競合GPUにはある程度のアドバンテージを見せている。

　Arc B580だとSpeed Way以外はRTX 4060やRX 7600に間違いなく勝てるが、Arc B570はSteel Nomad Lightのように微妙に負けるものも出てくる。このあたりはレンダースライスが減っただけではなく、メモリーバス幅も絞られていることも関係していると思われる。