NVIDIAの展示ブースをレポート
NVIDIA純正のRTX 5090 FEは2スロット厚で大丈夫? 他社は3.5スロット厚のモデルも
2025年01月08日 18時45分更新
GeForce RTX 50シリーズのフラッグシップ「GeForce RTX 5090 Founders Edition」。残念ながら本邦では正式流通ルートはない
NVIDIAは北米ラスベガスで開催中のCES 2025で、「RTX Blackwell」こと「GeForce RTX 50シリーズ」(以下、RTX 50シリーズ)を発表した。発表の場となった基調講演では、ジェンスン・ファンCEOのプレゼンだけで約1時間半のステージを走り切り、聴衆を大いに魅了した。
基調講演の壇上では、NVIDIA純正デザインのビデオカード「GeForce RTX 5090 Founders Edition」(以下、RTX 5090 FE)がお披露目。既報でお伝えした通り、CUDAコア数は2万1760基、TGP(ビデオカードの消費電力)は575W。前代未聞の異次元スペックであるにも関わらず、2スロットに収まるというデザインに衝撃を受けた人も多いはずだ。
基調講演の翌日に開放されたNVIDIAの展示スペースでは、RTX 5090 FEの実物に加え、AICパートナーメーカーのビデオカードも展示していた。簡単ではあるが筆者が興味をひかれたモノをいくつか紹介してみたい。
RTX 5090 FEのDouble Flow Throughデザインとは?
まずはRTX 50シリーズのFEについて。RTX 30シリーズより採用された「Flow Through(フロースルー)」デザインとは、ファンの風を表から裏側に通り抜けるように設計することで、ヒートシンクの放熱効率を最大化しようとする試みだ。Flow ThroughデザインはFEだけの専用設計ではなく、AICパートナーのビデオカードでも普通に採用されている。
今回、NVIDIAはRTX 50シリーズのFEにおいて、そのFlow Throughデザインをさらに発展させた「Double Flow Through(ダブルフロースルー)」なるデザインを採用した。RTX 30/ 40シリーズではFlow Through機構になっている場所はカード後部のファンのみだが、それをカード前部のファンにも適用したものだ。
RTX 5090 FEの場合、メイン基板はカード中央3分の1程度の空間のみであり、GPUやVRMの熱は両翼のヒートシンクに送られる。それぞれのヒートシンクがFlow Throughなので冷却効率が高い、というカラクリ。今までのデザインではカード前側のファンの風は基板に阻まれてカードの上や下、あるいはバックパネル側に押し出される。しかし、Double Flow Throughにすることでビデオカード全体がPCケース内部の空気を下から上に押し上げる装置として機能する。
ただし、TGP 575WのGPUが発する熱がすべてCPU側に押し寄せることになるため、天面ファンや背面ファンで熱気を外に逃す必要がある。とはいえ、いまどき背面ファンが1基だけみたいな窒息PCケースを使うのは非現実的であるため、一般的な自作PC環境ではあまり気にする必要ははいだろう。
RTX 5090 FEで採用したDouble Flow Throughデザインのイメージ。カード下側の空気をすべて上側に動かすことを意図している。ファンを2基とも表側に配置した狙いは冷却効率の最大化だろう
RTX 5090 FEの基板。向かって左側がカード上側、右側がPCI Expressスロット側だ。みっしりと実装されたVRMやGDDR7のメモリーチップが印象的だが、PCI Expressのカードエッジがないことに気がついただろうか? つまり、RTX 50シリーズのFE基板はモジュラー構造を採用した「金のかかった設計」であることがわかる
基板の裏側。GPUがマウントされている部分の下側に高密度コネクターが2つ見えるだろうか? ここから映像出力端子とPCI Express 5.0(Gen 5)のカードエッジに接続されるようだ。既存の基板設計では我慢できないという、NVIDIAのこだわりが感じられる。ここまで実装密度が高いと修理できるのだろうか……?

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