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「AIコンステレーション」を活用した市民参加型ワークショップを開催

個性豊かなAIたちの議論で、視点が乏しい会議に革命が起こる? NTTが実証実験

2024年10月17日 10時00分更新

文● 福澤陽介/TECH.ASCII.jp

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 NTTは、2024年10月17日、AI同士が議論する「AIコンステレーション」を活用した、市民参加型ワークショップを福岡県の大牟田市で開催した。

 多様なAIが相互に議論して、人間の判断や意思決定を支援する―― これがNTTの提唱するAIコンステレーションが目指すAIの未来だ。今回開催したワークショップでは、立場により様々な意見が挙がる市民同士の議論において、専門性や個性を持ったAI同士の議論が与える効用を検証した。

ワークショップは「会議シンギュラリティ ~AI たちと考えるこれからの大牟田」のタイトルで開催された

星座のようにAIが相互連携して、多様な視点から解を創出する「AIコンステレーション」

 NTTがAIコンステレーションを推進する背景に、LLMの台頭がある。LLMは飛躍的な進展を遂げており、今では、汎用AIとしての地位を確立しつつある。

 一方でLLMは、ユーザーの指示に沿った出力をするよう学習させるため、設計された価値観に基づく回答に留まり、想定外や突発的な対応ができないという弱点を持つ。加えて、言葉の意味を理解しているわけではないため、論理的思考を要するタスクにも不向きである。

 そこで、NTTがとるアプローチが、何でも知っている巨大なLLMではなく、専門知識を持った小さなLLMを作ることであり、その結果生まれたのがNTT版LLMである「tsuzumi」だ。

 このtsuzumiのような専門性や個性を持った小さなLLMが相互に議論・訂正を行うことで、多様な視点によって社会課題の解決を図るというのが、AIコンステレーション(英語で星座の意)のコンセプトである。今回、福岡県の大牟田市で実施するワークショップは、このAIの未来向けて歩を進めるための実証実験となる。

AIコンステレーションの概要

異なるペルソナのAI同士の議論は、人同士の議論を深化できるか

 ワークショップの舞台になったのは、人手不足の中、企業のAI活用を推進する福岡県大牟田市だ。当日は、同市の有識者・主要団体代表・市民代表などが参加。AI同士の議論を参考にすることで、参加者同士の議論が深められるかが検証された。

ワークショップの概要

 午前・午後でテーマを分けて議論され、午前の「中小企業支援」のテーマでは、中小企業経営者や金融機関職員、経済団体職員、労働組合職員など、午後の「介護予防」のテーマでは、理学療法士や作業療法士、生活支援コーディネーター、保健師などテーマに応じた専門家も参加した。

 ワークショップは3つのパートで構成される。最初のパートでは、異なるペルソナのAI同士が議題に対してアイディア出しを行う。そして、参加者は、AI達が出したアイディアに対して意見交換。続くパート2では、パート1で出たアイディアに対してAI同士が議論して、その議論の結果を参加者が深掘りする。最後のパートでは、ここまでのAI同士・人同士の議論の結果を、AI同士で再度議論を重ねて、その結果を受け参加者が総括をする。

ワークショップの構成

 様々なペルソナのAIは、tsuzumiを始め、複数のLLMを用いて最適化される。ペルソナには、議論を促すファシリテーター(司会者)に加えて、介護予防のテーマの場合は、医師(内科)や社会疫学者といった、テーマに合った役割のAIを揃え、それぞれ所有する専門知識を基に、アイディア出しや議論を行う。

 さらに、参加者にはいない立場のペルソナを用意することで、実際の会議の現場である、「参加できない専門家の意見をどう吸い上げるか」という課題にも対応する。

 NTT コンピュータ&データサイエンス研究所の竹内亨氏は、「自身が思いつかないようなアイディアや立場が違うペルソナによるディスカッションに触れることで、議論が高度化するのを期待した」と説明する。

AIコンステレーションでの議論イメージ

 NTTはこの実証実験などで、ファシリテーターAIが動的に介入して、パネリストAI同士の議論を誘導・促進するような技術を確立して、AIコンステレーションのコンセプトを推し進めていく。NTT コンピュータ&データサイエンス研究所の城間祐輝氏は、「個人であればアイディアの創出、企業であればマーケティング分析、地方自治体ではコンセンサスの形成といった、人の意思決定に寄与できるのではないか」と想定するユースケースを挙げた。

 これらのAIコンステレーションの取り組みは、11月25日から29日に開催される「NTT R&D フォーラム2024」でも展示予定だ。

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