荻窪圭の“這いつくばって猫に近づけ” 第885回
”猫撮影の基本”第4弾! 室内猫なら1/250~1/500秒、動く猫なら1/1000秒とシャッタースピードをコントロール
2024年09月11日 12時00分更新
今年の4月にちょっとやった、猫撮影で学ぶカメラの基本シリーズの第4弾である。新製品も一段落したし、続きをやろうかな、と。今回は、シャッタースピードの話。
じっとしてる猫を撮るときは、手ブレさえしなければシャッタースピードなんていくつでもいいわけですよ。これなんか、1/13秒。午後10時にたまたま出会った猫で、人に慣れてておとなしくじっとしててくれたので、シャッタースピードをぐっと落として撮れた。暗いので、目が真ん丸。
昔はISO感度を上げるととたんに画質が落ちていたので、室内で撮るときなんかは、感度はあまり上げたくないけどシャッタースピードは落としたくない、というギリギリの線を狙ってたもんだ。
でも、動いてる猫を撮るときはシャッタースピードを上げたい。シャッタースピードを上げておかないと、こんなことになる。極端な例だけど。
その点、ここ数年のデジカメの進歩はありがたい。高感度時の画質がよくなり、ISO感度を上げて撮っても、十分な画質を得られるようになった。昔の感覚だとISO1600くらいまでしか上げたくないなって思っちゃうけど、イマドキのミラーレス一眼ならISO12800まで上げてもイケちゃう感じなのだ。
冒頭写真なんか、シャッタースピード1/1000秒で、ISO25600ですからね。それも、高感度にはあまり強くないといわれるソニーの「α9 III」だ。
あれこれ猫を撮ってきた感覚でいうと、猫を撮るときのシャッタースピードは1/250秒から1/500秒くらいを基本にしてる。昼間の屋外なら気にしなくていいけど、夕刻や室内だとシャッタースピードが遅くなりがちなので注意だ。
素速く動いてる姿を撮りたいなら、1/1000秒まで上げちゃう。これは、うちのミル。こういう瞬間を撮りたいなら、シャッタースピードは速いほうがいい。
1/1000秒以上ならそれなりに動きを止められるので、飛んだり跳ねたり遊んだりしてる姿を撮るなら、それが目安だ。
ただ、あえて1/250秒に抑えて「顔以外は動いてる」瞬間を撮ると、写真に動きが出せる。これは1/250秒。顎をぼりぼりと掻いてる後ろ足はブレてるので、動きが出てる。
シャッタースピード編の最後は、流し撮り。猫って歩くとき、意外と頭が上下に動かないので、うまくすれば流し撮りがハマるのだ。
狙って撮ったわけじゃないけど……しゃがんで猫を撮ってたら歩き出したので、条件反射で流し撮りしたらハマった例。背景と足は横に動いてるのに、顔はしっかり見えてる。
「ここはこのシャッタースピードで行きたい」ととっさに設定を変えられるかどうかは、相手が猫だけに難しいところ。カメラが高感度に強くなり、猫AFのレベルがどんどん上がって、あとはシャッターを押すだけじゃんと思われがちだけど、シャッタースピードのコントロールはまだ人間の仕事だ。
そのうちAIが進化して、猫の動きに応じてシャッタースピードも変えてくれる時代がくる気はしてるんだけれどもね。どこをカメラに任せて、どこを自分でコントロールするかは、その人が選べばいいのだ。
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筆者紹介─荻窪 圭
老舗のデジタル系フリーライター兼猫カメラマン。今はカメラやスマホ関連が中心で毎月何かしらのデジカメをレビューするかたわら、趣味が高じて自転車の記事や古地図を使った街歩きのガイド、歴史散歩本の執筆も手がける。単行本は『ともかくもっとカッコイイ写真が撮りたい!』(MdN。共著)、『デジタル一眼レフカメラが上手くなる本』(翔泳社。共著)、『古地図と地形図で楽しむ東京の神社』(光文社 知恵の森文庫)、『東京「多叉路」散歩』(淡交社)、『古地図と地形図で発見! 鎌倉街道伝承を歩く』(山川出版社)など多数。Instagramのアカウントは ogikubokeiで、主にiPhoneで撮った猫写真を上げている。Twitterアカウント @ogikubokei。ブログは http://ogikubokei.blogspot.com/
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