このページの本文へ

山根博士の海外モバイル通信 第716回

ディスプレー展示会で見てわかった最近のスマホの背面が美しい理由

2024年09月05日 12時00分更新

文● 山根康宏 編集●ASCII

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

SEGYUNG HITECHがデザインしたスマホ背面

 8月に韓国・ソウルで開催されたディスプレー関連の展示会「K-Display 2024」を取材しました。サムスンディスプレイやLGディスプレイなど、大手のディスプレー企業の出展のほか、関連メーカーも多数ブースを出していました。

 その中でスマートフォンの背面処理を手掛ける企業の展示が気になったのです。

最近のスマホはケースなしで見せたくなる美しいデザイン処理が施されている

 SEGYUNG HITECH(セギョンハイテク)はスマートフォンのデザインやディスプレー保護素材などを開発するメーカーですが、最近のスマートフォンの背面デザインに関しても様々な開発をしています。

 CMF(Color、Material、Finishing)デザインを手掛けており、カラーリングだけではなく、素材やその加工技術などの組み合わせにより、美しいスマートフォンの外観を実現させています。

SEGYUNG HITECHのブース

 スマートフォンの背面が白や黒の単調なデザインの時代は終わり、多数のカラバリを用意している製品も数多くあります。SEGYUNG HITECHは業界最大手メーカーの背面パネルデザインも担当しており、映える色合いかつガラスで保護された、強度あるパネルを開発しています。

大手メーカーのスマホはカラバリ展開も多い

 背面デザインは、市場のトレンドを参考にしながらパターンやカラーを決める必要もありますし、そのデザインをどのように背面パネルに印刷するか、さらにその上をどのように保護するかなど、製品に落とし込むまでに様々なステップ・検討が必要になります。

 表面の触り心地を左右するコーティングによっては、元のデザインが見えにくくなることもあるため、簡単に製品化できるものではありません。

デザインを選定、その後印刷やコーティング等様々な検討が必要になる

 サンプルを見せてもらいましたが、どれも最近のスマートフォン、特に中国メーカー製品でよくみるパターン。しかし、それぞれ異なるステップで仕上げられており、手で持ってみると光の輝き方や手触りもかなり違います。

 スマートフォンにカバーをつけるとこれらのデザインは見えなくなってしまうものの、最近は透明ケースが付属する製品も多く、本体デザインを気にして買うユーザーも多くいます。

様々な仕上げで作られた複数の背面パターン

 最近話題の折りたたみスマートフォンも、特に縦折り型のフリップスタイルはファッション性も高めた製品として、外観の仕上げは製品選択の大きな判断基準になります。いかに「美しい背面にするか」これは製品スペックと並んで重要な技術になっているのです。

折りたたみスマホの背面処理も重要だ

 SEGYUNG HITECHはほかにも方向によって見え方の異なるフィルムの開発など、魅力ある製品づくりをサポートする素材の開発をしています。最新スマートフォンが次々と出てくる中、このように本体の素材や仕上げを開発する企業の技術力が製品の魅力を大きく引き上げているのです。

建築物などにも応用できるフィルム

筆者紹介───山根康宏


 香港在住の携帯電話研究家。海外(特に中国)のスマートフォンや通信事情に精通。IoT、スマートシティー、MaaS、インダストリアルデザインなど取材の幅は広い。最新機種のみならずジャンク品から100万円のラグジュアリーモデルまであらゆる携帯電話・スマートフォンを購入する収集家でもあり、その数はまもなく1800台に達する。

カテゴリートップへ

この連載の記事

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン