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AIは漫画家の玉手箱なのか……実録:AIで描く漫画の実際 第5回

実録:AIで描く漫画の実際 ~AI漫画の集大成! 最新技術で挑む最終回

2024年08月31日 20時00分更新

文● 野火城 編集●ASCII

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4/SDXLモデル+CN-anytest_v4で白黒線画をカラー化

 そしてここで気づきました。そういえば1ページ目はカラーにしようと思っていたのだ、と…。

 白黒→カラー化なら(1)の画像で十分です。AIはカラーの方が上手いので。でもせっかくここまでやったので、(4)の白黒線画をSDXLモデル+CN-anytest_v4に入力してカラー化していきましょう。

 今回のカラーの画風をどうするかかなり迷ったので、ここで結構試行錯誤しています。アニメ風にするか水彩風にするか油絵風にするか…。

 とりあえず大雑把に色指定のためバケツ塗り。AIが整えてくれるので細部まで塗らなくても適当に色を置くだけでOK。一瞬で終わる作業ですし、AIがパーツを識別しやすくなるのでやっておいた方が効率的です。

 とりあえず最初はパステル系のアニメ風で塗ってみました。

 これはこれでいいんですが、イメージとは違いました。あと漫画内にアニメ系AI画像が出て来るので、それとは差別化できる画風の方が面白いだろうと思い、今回は初回のようなリアルな油絵風を選択。油絵画風の生成には、油絵LoRAと印象派LoRAを使用しました。

 色味を調整・細部を加筆して整え、完成。

 毎回思いますが、画風が決まるまでの試行錯誤に一番時間がかかりますね。この画風でいく! と決めれば手順や数値は大体同じなので、ここからは速いです。

 手描きでこのような重い塗りの試行錯誤は現実的ではありませんが、AIなら数分で同じ絵から色々なパターンを試せる。ここは明確にAIの利点、強みですね。

 しかしこのように万能に見えるSDXLモデル+CN-anytest_v4の白黒→カラー化ですが、もちろんできないこともあります。モデル内に学習データが少ないであろうものは、例え線画に忠実に設定しても上手く描写されません。以下はその例です。

 DALL-E3で生成したこの亀のセクシー画像を、SDXLで画風変換しようとして…

 何度も試しましたが、どれもこのようなぼんやりした画像になってしまいました。

 プロンプトに「海亀」と入れたのに明らかに認識できておらず、水着も何かフンワリしたよくわからない布になっています。花のプロンプトとか入れてないのに、リボンの編み上げを花っぽくして誤魔化していますね。

 anytest_v4に上記画像を入力しているので形はそこまでブレていませんが、だからこそ何をどうしたらいいのかわからないと困惑しているように見えます。

 このように、学習データが少ないものは、例え画像で指定しても上手く描写されません。人間でも体操やブレイクダンスなどの難しいポーズは破綻します。この辺りの描写も今のところDALL-E3が頭一つ抜けてますね。

 そもそも何で「魅惑的な水着を着た茶色い海亀、美しい砂浜で魅惑的にあおむけで寝転ぶ海亀」というプロンプトだけでこれを生成できるんだDALL-E3…。SDXLで同じプロンプト入れたら、単純に女体化するかこうですよ。

 これはこれで趣がありますが、求めてるのはコレジャナイ。

 さて、これで漫画に入れる絵ができました。破綻やキャラ外見を加筆、仕上げして完成です。

(次ページ:生成AIに漫画を評価してもらう)

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