DDR5-6000使用時の消費電力にも注目
ここから先の検証では実ゲームを利用した検証になる。検証方針はFF14ベンチと同じく、フルHDかつ画質低設定とした。フレームレートの計測はすべて「CapFrameX」を利用し、フレームレート計測時にシステムおよびCPUがどの程度電力を消費するのか(平均値)も見る。特にDDR5-6000を使用するとメモリーコントローラーの消費電力が増えるが、それがCPUの消費電力にどう影響するのか、という点もチェックしたい。
この電力測定は前編と同様にHWBusters「Powenetics v2」を用い、システム全体の消費電力はATX/ EPS12Vx2/ PCIe 8ピンx2/ PCIe x16スロットに流れた電力を、CPUの消費電力は2系統のEPS12Vケーブルを流れた電力をそれぞれ直接計測した。
また、フレーム生成機能(FSR 3 FGやAFMF)は使用しないが、アップスケーラーとしてのFSR 2やFSR 3は利用し(ゲームの初期設定による)、その場合は“バランス”設定を使用している。
「Overwatch 2」
Overwatch 2の画質はプリセットの“低”を選択、レンダースケールは100%、フレームレート制限は上限の600fpsとした。マップ“Eichenwalde”におけるbotマッチ観戦中のフレームレートを計測した。
Ryzen 9 9950Xであっても、3D V-Cacheを搭載したRyzen 7000X3Dシリーズには及ばない。そしてRyzen 9000シリーズとRyzen 7000シリーズを比較すると大差ないどころか、若干9000シリーズの方が低く出ている印象すらある。今回の検証ではRyzen 9 7950Xよりフレームレートがやや低いく出ているが、DDR5-6000を組み合わせることでほんの少し盛り返す。ただしRyzen 7000シリーズにもDDR5-6000は利用できるので、そうなるとRyzen 9000シリーズが優位であるとは言えない。
ベンチマーク中の平均消費電力では、Ryzen 7000シリーズよりもRyzen 9000シリーズの方が高めに出ており、ワットパフォーマンスで言えばRyzen 9000シリーズは悪化したと言わざるを得ない。
モジュールの消費電力が増えるDDR5-6000を組み合わせた場合CPU単体の消費電力も10~30W程度増加し、システム全体でも最大65W程度増加する。CPUの消費電力の伸び幅よりシステム全体の伸び幅の方が多い理由は、CPUがより働くようになったことで、より消費電力の大きいGPU(RX 7900 XTX)もの処理性能も上がったためだ。
「Counter-Strike 2」
Counter-Strike 2は画質“低”、フレームレート制限は上限である1000fpsに設定。ワークショップマップ「CS2 FPS BENCHMARK」再生中のフレームレートをCapFrameXで計測した。
Counter-Strike 2は3D V-Cache搭載Ryzenがなかなか輝くことができない珍しいタイプのゲームだ。3D V-Cache Performance Optimizerが働いていないのではと思ったが、他のゲームではしっかり効いているので、結論としては2CCD構成のX3Dと相性がよろしくない、ということになる。
その点Ryzen 7 7800X3Dは最低フレームレートが最も高く平均フレームレートも高いが、Ryzen 7 9700Xに最速を奪われてしまう。それよりもTDPの高いRyzen 9 9950XおよびRyzen 9 9900Xは……というと、X3Dシリーズ同様にフレームレートが伸びていない。
CPUコアを2基のCCDに分かれて実装することで高いコストパフォーマンスを発揮するのがRyzenの強みだが、プログラム側の設計によっては、このようにシングルCCD仕様のRyzen 5/ 7に負けてしまうこともあり得る。
フレームレートが出ないCPUは消費電力においてもいまひとつ。Ryzen 9 7950X3Dの場合システム全体の消費電力も低いが、これはGPUが仕事をしていない(=フレームレートが出ない)こととリンクしている。Ryzen 9 9950XはDDR5-5600を使用している際はCPUの電力は食っているがフレームレートが出ないためシステム全体も低めだ。
こうして見るとRyzen 7 9700Xのバランスはかなり良い。3D V-Cacheを搭載していれば、CPUの消費電力はもっと下がることが期待される。

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