開発の裏側もわかる!?
開発陣へのQ&Aセッションも実施!
試遊の後、開発陣へのQ&Aセッションが行われた。まずは司会者からゲームの基本的な質問がされ、その後は、開発陣が会場からの質問にも回答。本作の魅力をより深く聞くことができたので、ぜひチェックしてほしい。
――今回、オリジナル版に携わった伊藤氏や山岡氏と一緒にリメイク作の制作をされたわけですが、いかがでしたでしょうか?
岡本氏:『SILENT HILL 2』はユーザーから長く愛されてきたタイトルなので、オリジネイターのお二人と仕事をすることができて非常に良かったです。ゲームの設定をより深く掘り下げて作ることが出来たと思います。
――リメイクにあたって新たに描き下ろされた楽曲はあるのでしょうか?
山岡氏:曲は全曲書き直しています。オリジナルの曲をパーツで使っているんですけど、基本は全曲変えていますね。本作はリメイク作ですが、新しい『SILENT HILL 2』ということで、これから初めて遊ぶ人にとっても感動や興奮を抱いてほしいと思い、オリジナルのパートを使いながらも、全曲変えました。
トータルで言うと9時間ぐらいの曲数になっています。それで今はサウンドトラックにするときにどうしようかと考え中です(笑)。
――リメイク作に登場するクリーチャーはオリジナル版との違いはありますか?
伊藤氏:ゲームの特徴のところでも言わせていただいたように、バトルデザインに関係して、個体ごとに微妙な違いを出しています。新しいクリーチャーを導入してはいませんが、オリジナル版でこうした方が良かったと思っていたところは手を加えています。
プレイしていただければ原作との違いはわかると思うんですけど、その違いを考察していただくのも今回の楽しみの1つになると思います。
――開発をされたBloober Teamとして、本作のポイントを教えてください。
Maciej氏:Bloober Teamは原作の『SILENT HILL 2』に対して非常に深い愛情と思い入れがあります。今回の作品ではゲームプレイ全体のフローをレベルデザインから煮詰め直して、コンバットデザインから探索の要素まで、ゲーム体験全体で一体感のあるものとして成立することを目指しました。
――Mateuszさんは付け加えることはありますか?
Mateusz氏:今回、会場で初めて外部の方々が本作をプレイする反応を見ることできて良かったです。知見を広げることができました。
――今回Bloober Teamを開発に選んだ理由を教えてください。
岡本氏:『SILENT HILL 2』をリブートするにあたって世界中のスタジオが候補にあがったんですが、やはり本作に対しての愛情が強いチームを選びたいという想いがありまして。いくつかの候補の中から私が実際にBloober Teamに訪ねて、非常に愛情が強いチームだと確信したのでお願いすることにしました。
――オリジナル版よりも導入部分のテンポがよくなっていたように感じたのですが、リメイクする際にプレイ感などは意識されたのでしょうか?
Mateusz氏:難しい判断ではあったのですが、おっしゃる通り、変更しました。もう少し盛り上がりを加えるかなど社内でいろいろ検討もしたのですが、最終的にはオリジナル版を尊重しつつ、現在のペースになるようにしました。
――「サイレントヒル」シリーズとして、今回の『SILENT HILL 2』はどういった存在になるのでしょうか?
岡本氏:オリジナル版の『SILENT HILL 2』は、皆さんにとっての「サイレントヒル」のクオリティのスタンダードであったり、思い出だったりすると思います。今回のリメイク版の『SILENT HILL 2』を自信を持ってお届けすることによって、「サイレントヒル」ファンの皆さんに、その他のすべての「サイレントヒル」シリーズ作のクオリティを保証し、KONAMIとしてはちゃんと自信を持って本シリーズを送り出していくと訴えていきたいと思います。
――リメイク版を製作される際、同じものが作りたくないという話もあったようですが、ここは残したい、ここは変えたいといったように、オリジナルチームとBloober Teamで意見を戦わせたようなことはあったのでしょうか?
岡本氏:オリジネーターのお二人はリメイクだけれども完全な新作になるようなイメージで作りたいという気持ちをお持ちだったので、スタート時点ではクリーチャーデザインを一新したり、音楽をまったく新しいものにしたりするといった議論もしました。
Maciej氏:最初はオリジナルから一切変えないという案も出ていました。さまざまな議論を重ねた結果、『2』に寄った作品にしたいという想いもありましたので、現在の形に落ち着きました。
――山岡さんと伊藤さんにお聞きしたいのですが、『SILENT HILL 2』に帰ってきた印象を教えてください。
山岡氏:セルフカウンセリングと言えばいいのでしょうか。音楽を作るとか、ゲームを作るとかというよりも、自分の25年前の生き方であるとか、何を考えてどんな生活をしていたのかというところから入って、今回の作曲に挑みました。結果として、自分はどういう生き方をして、どんな葛藤を抱えて当時『SILENT HILL 2』に挑んだのかということが思い出せなかったんですけど(笑)。
そこのカウンセリングというか、自分との戦いというか、自分との問答を毎日していて、すごく苦しかったですね。『2』の曲をそのまんまやるのは簡単なんですけど、やはり25年経って、ファンの方たちにも、新しくこのゲームを遊ばれる方たちにも作品として受け入れてもらいたいという想いもあって。じゃあ自分は今どういうことをやらなけばいけないのか、すごく考えました。
そういう音楽作りというか、クリエイティブの深いところなんですけれども、そういうことを考えながら、作曲を続けていきました。
話はズレるのですが、オリジナル版の『SILENT HILL 2』を制作していた当時、お金がなかったんですよ。ファンの皆さんが大好きな「ローラのテーマ(Theme Of Loura)」や「プロミス(Promise)」など、実はベースが入っていないんですね。当時お金がなくてベースを買えなくて、ギターのチューニングを下げてベース代わりにしてたんです。
この作品のオリジナルを作る時も、いいものを作りたい、すごいエッジのある尖ったものを作ってみたいなど、ギリギリまで考えて、なにかいいものを作ろうと作曲していました。そんなことを忘れてしまっていて。
今回のリメイクの曲を作曲する時は、葛藤というか、この曲はどうやって作ったんだろうとか、昔の自分と向き合いながら作っていきましたね。
伊藤氏:最初、2019年頃に岡本さんから『SILENT HILL 2』のリメイクに参加してくれないかとダイレクトメールをもらいました。その時点ではオリジナルの『SILENT HILL 2』をいじる必要はまったくないと思っていたので、初めは断ろうと考えていたんですね。ただ、参加しないでまったく違う方向性のものが作られるのであれば、自分が参加して『SILENT HILL 2』のストーリーテリングだったり、タイトルとしてのコアパートだったりを引き継ぐことに尽力しようと思いました。
そういった理由で参加しましたが、先ほど岡本さんやBloober Teamのメンバーが言ったように、原作のコアの部分は変えずに、ガワはまったく新しいものにした方がリメイクとしての価値はあるなと初めは思っていたんですね。最終的にはオリジナル版の『2』に寄り添った形でリリースすることになりましたが、個人的には『SILENT HILL 2』をまだやったことのないプレイヤーに対して、原作のインパクトを、当時作ったものよりもブラッシュアップした形で伝えるということを目標に制作に関わっていきました。
Q&Aがひと通り終わると、本作の最新トレーラーが公開された。映像は、下記のリンクをチェックしてほしい。
▼最新トレーラー映像
URL:https://www.youtube.com/watch?v=TKBGmpOxNKw
――最後にこのトレーラーについてのコメントをいただけますか? まずはBloober TeamのMateuszさん。
Mateusz氏:今回のトレーラーは、マリアの登場シーンを軸にして、2001年に原作が発表されたときのトレーラーをオマージュした構成となっています。そして、今回エディの姿が初披露されるということで、その部分も踏まえて構成しています。Bloober Teamとしても満足出来る内容になったと思います。
――次は岡本さんお願いします。トレーラーについてと、ユーザーの皆さんへのメッセージもお願いします。
岡本:KONAMIとBloober Teamは『SILENT HILL 2』のストーリーを大切にしていることがよく伝わるトレーラーになっていると思います。このトレーラーを見て、ユーザーの皆さんに安心してもらえると思っています。また、試遊会が開けるほど開発が進んだ状況も嬉しく思っていますので、ファンの皆さんもぜひ期待して発売を楽しみにしてください。
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