前回に引き続き、Lunar Lakeのコンピュートタイルについて解説しよう。残るのはGPUとNPU、それと周辺回路周りである。
Xe-LPやXe-LPGで省かれていたAI関連の命令が復活
Meteor Lake世代は、GPUにXe-LPGが搭載されていたが、Arrow LakeではXe2に進化した。
そのXe2の進化ポイントが主に効率(Efficiency)の向上、というのは単にLunar Lakeの実装に当たっては効率の向上に係る部分の機能を実装したという話なのか、それともXe2世代全体の特徴が効率の向上のみ(性能向上はEU数の増加で担う形とし、その際のスケーラビリティの確保などは効率向上の中に含まれる)であるのかは、現時点では判断できない。
ただこの効率、コンポーネント単位では(コンポーネントによって差が大きいが)1.2~12.5倍改善しているとする。また、Xe世代では1つのレンダー・スライスあたりXeコアが4つで、あとはレンダー・スライスを何個搭載するかでシステム全体の構成が決まる格好だったが、Xレンダー・スライス2ではレンダー・スライスの数だけでなく、個々のレンダー・スライス内部のXeコアの数も可変になった。
そしてXeコアの内部も変更になった。
Meteor LakeのXeコアの内部構造とは、以下の違いがある。
- 256bit×16のVector Engineが512bit×8に変更された
- XMX Engineが復活した
- 新たに64bit Atomic Opsがサポートされた
このうちXMX EngineにHA、もともとXeコアにはXMXエンジンが搭載されており、ところがXe-LPやXe-LPGではそこまでAI関連命令が必要ないということで省かれていた経緯がある。
ではなぜXe2では復活したか? といえば、AI PCということで単にNPUを強化するだけでなく、現在のアプリケーションではGPUを使ってAI処理をするものも多く、こうしたものでも性能を発揮させるためにはXMXがあった方が有用だから、というあたりが理由と思われる。
後述するが、Lunar LakeのGPUはトータルで67TOPSの処理能力を持つとしており、これはNPUの処理能力である45TOPSを超える。この67TOPSの処理能力の大半はXMXによって実現しているので、AI PCを名乗る以上外すわけにはいかない。

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