コロナ明けの低迷期から回復するゲーム市場

テーマは「AI世代のゲームと遊び場」――浜村弘一氏の“ゲーム産業の現状と展望 2024年春季”をレポート

2024年06月10日 15時00分更新

文● ミヤザキ/ASCII

 2024年5月29日、KADOKAWAデジタルエンタテインメント担当シニアアドバイザーの浜村弘一氏によるオンラインセミナー「ゲーム産業の現状と展望 2024年春季 ~AI世代のゲームと遊び場~」が開催された。ここでは、その概要をお届けしよう。

コロナ明けの低迷期から着実に回復するゲーム産業

 2023年の世界のゲームのコンテンツ市場規模は、前年より約3%拡大。これまではモバイルのシェアが多かったが、PCも広がってきているという。

 AAAタイトルの発売や、コロナ禍で台数の準備ができなかったPS5が市場に出回ったこと、中国でゲームタイトルの認可ができなかったことなどで落ちていた市場が大きく伸び、北米、欧州、東アジアとすべての地域でゲームの市場規模は成長を遂げた。

 「コロナ明けに苦しい時期はあったけれども、順調に成長軌道に戻してきた」と浜村氏。

 また、インドやアフリカなど、これまであまり注目されてこなかった地域で産業化の動きも出てきたという。両国ともに伸びしろは大きいのではと浜村氏は語った。

 さらに、韓国の政府がコンソールゲームの開発を重点項目として支援していくという政策にも触れた。そんな中発売されたSHIFT UPの『ステラーブレイド』は、日本も含め世界で高い評価を得て注目を集めているとのこと。

日本政府からも注目を受けるゲーム産業

 日本では、自民党のデジタルコンテンツ戦略小委員会がアニメなどのコンテンツ産業を日本の基幹産業と位置付けて、2030年までに20兆円の市場を目指すと発表。ゲームは日本の輸出コンテンツとしてはアニメを上回るパーセンテージを出しており、非常に注目されていると浜村氏。

 そんな日本のゲーム市場規模は、ハードの台数が売れたものの、ソフトの売上が落ち、微増という結果に。浜村氏は、PS5が販売台数を伸ばしたが、日本市場はSwitchのシェアが大きいため、Switchがピークアウトになるとソフトの売上が全体的に沈んでしまうのは仕方のないことと語った。

 各プラットフォーム別の状況としては、Switchの販売台数が2023年3月時点で3250万台に到達。日本で一番普及したゲーム機はニンテンドーDSで、その台数は3286万台だった。この5月にはSwitchの販売台数がDSを抜くだろうと浜村氏は推測。

 そして話題は、Switchの後継機へ。任天堂が公式X(Twitter)にて、来年の3月までにSwitchの後継機を発表するとアナウンスした。浜村氏は任天堂のハードの過去の発表と発売時期の比較を出しながら、発表から1~2年で発売するだろうと予測。

 ただ、これはハードの台数をどれだけ用意できるかにかかっており、それによっては時期は夏から冬といったように変動するだろうとも語った。また、「スーパーマリオ」や「セルダの伝説」の映画についても触れ、これらによりゲームコミュニティが広がり、ソフトの売上をより活性化させるだろうとも述べた。

 PS5は国内では前世代機のPS4の発売を上回っていると浜村氏。2023年3月31日までの累計販売台数は546万台とのこと。ソフト戦略としては、大手のソフトハウスも含め、ライブサービスを重要視しているとの声が挙がっているという。これを裏付けるのは、SIEが発表した2023年10~12月期のアドオン(=追課金)の売上。

 この売上が、過去最大になったという。その背景にはコロナ禍にゲームに繋がるユーザーが増えたからだと浜村氏は推察。パッケージとライブサービスは作り方が違うので各社は苦労しているようだが、それでも収益力を考えると、終わらないゲーム、サービス化したゲームをやってみたいという大手ソフトハウスは多くなるだろうと語った。

 浜村氏は今後発売の注目タイトルとして、いずれも2025年発売になるが、『モンスターハンターワイルズ』『グランド・セフト・オート6』『Pokémon LEGENDS Z-A(ポケモン レジェンズ ゼットエー)』などを挙げた。

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