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SUPER GTのピットに異変!? ARTAがレースでデジタルサイネージを活用開始!

2024年06月01日 12時00分更新

文● スピーディー末岡

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 いつものように自動車レース「SUPER GT」の取材に行ったときのこと。知り合いのライターさんから「ARTAがピット内にデジタルサイネージを導入したらしい。しかもかなり巨大なやつ」との話を聞いた。ピットからパドック(お客さんが入れるピット裏)に向けて置いてプロモーションに使うのかな? それともピット内で全員が見られるタイミングモニター(レースのラップタイムなどがわかるもの)として使うのだろうか? と疑問が……。

ARTA

ARTAのピット内。ピットパネルに変わって設置された巨大なモニターが目を引く 写真:加藤智充

スポンサーさんのロゴ掲出に使えないか?
鈴木亜久里氏の一言から設置が決まった

 せっかく現地にいるのだから、直接ピットを訪ねて担当者に聞くことにした。

 まずはこの巨大モニター導入のきっかけを教えてもらった。

 「そもそもは鈴木亜久里さんの提案からですね。バイクレースかなにかで使われているのを見て、まだ四輪チームでは導入しているところがないので、いち早く取り入れて何かやりたいと。タイミングモニターを表示したり、スポンサーさんのロゴを掲出したり、撮影したばかりの写真をフォトフレームのように表示したいとのことで導入するに至りました」

ARTA

SUPER GTの表彰式のバックパネルもこのモニターを使っている 写真:加藤智充

 鈴木亜久里氏は新しモノ好きというか、興味のあるものをすぐに取り入れる柔軟性があるようだ。さすが元F1ドライバー。ちなみに、このモニターはピットが狭いサーキットだと1枚、富士スピードウェイと鈴鹿サーキットだと3枚設置するそうだ。

 「このモニターは薄いのですが、それでも設置するためには背面に設置空間が必要になるので、ピットの大きさに合わせて枚数を調整しています」とチーム担当者。当面の運用については「ARTAのブランド訴求と、サポートいただいている企業さんをできるだけ露出させるためですね。動画を流してはどうかという意見もありましたが、動画だとすぐ流れてしまうので、静止画をじっくり見せた方がいいだろうと、このような運用になっています」とのこと。

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ARTAのレースアンバサダーの写真なども表示される

 レースの写真も表示しているが、どのようなチョイスなのだろうか。チーム担当者は「できるだけリアルタイムに近い写真を掲載したいので、搬入日と予選日は前戦の写真、決勝日は予選のときの写真を使っています」というから、ほとんど撮って出しのフォトフレームのような使い方だ。「今回はCMもあったのでその動画も差し込んでみました」まさに巨大なデジタルサイネージだ。これがピット内にある違和感がなんとも言えない。

ピットウォーク中ならファンも外から見られる

 だが、この設置だとあくまでピット内に向けたものになっている。ファン人たちが見られるように設置しないのだろうか?

 「今のところは考えてないですね。どちらかというとご来場いただいたゲスト(スポンサー)向けという感じです。あとはピットウォークのときならファンの方もピット側から見られると思います」とはいえ、設置方法に関しては今後試行錯誤していく予定とのこと。パドック側からも見られるとファンも喜びそうだ。

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今のところはファンではなく、スポンサーやチームスタッフ向けの運用

 次にこのモニターの耐久性を聞いた。ピットはメカニックの戦場だ。工具などが当たってしまうことも大いに考えられる

 「多少の衝撃なら壊れることはありません。もし壊れてもすぐに交換できるパーツがあるので。あと雨にも耐性があるので表彰台でも使えるんです」

5000cdの超明るいモニターで日中でも見やすい

 次にこの巨大モニター「DEGIMO」を取り扱っているMOST 代表取締役 松岡隆一氏にお話を聞いた。まずはこの状態での大きさやアスペクト比、解像度はどうなっているのだろうか。スペック的な部分を教えてもらった。

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このモニターは「DEGIMO」という製品で、MOST社が販売している。代表取締役の松岡氏が全面協力してピット内の巨大サイネージが実現した

 「まず縦横比は4:3で大きさは140インチです。今の解像度は横が1152、縦が768ドットで表示しています。表彰台に使っているのは4Kです。消費電力は50×50cmのパネル1枚につき、0.975Aですね。これが24枚使っているので合計約24Aでコンセントふたつ分って感じでしょうか。明るさは最高で5000cd(カンデラ)となっています。液晶テレビはだいたい1000cdなので、だいぶ明るいことがわかると思います。基本的にサーキットは屋外で日中使いますからね。ですが、今は明るさは半分(2500cd)に抑えていて、消費電力も半分になっています」

 半分の明るさとはいえ、自然光の下でもかなり明るくハッキリ見える。さらに視野角もかなり広く、真横に行かない限りはどこからでも画面が見えた。決勝レース中に監督やスタッフなどがモニターを見ようとすると、人数が多いので横に広がりがち。しかし、このモニターなら視野角が広いので、チームスタッフ全員でどこからでも見られるため便利なようだ。

まだ運用を始めたばかり
今後採用するチームも増えるかもしれない

 ARTAチーム担当者は「このサイネージを見たとき、ピット内のパーテーションにいいなと思ったんですよね。実現するには、MOSTさんの多大な協力がなくては無理でした。ピットに合わせて設置位置などを考えてくださったり、画像や映像がうまく画面内にフィットしなかったのを調整してくださったりと。表示する画像を変えたり、ロゴの位置がおかしいなどはその場ですぐにPCをいじって修正できるのはいいですよね。たとえばカッティングシートを貼ったとして、位置を間違えたり大きさを間違えたりすると、もう一度印刷からやり直しですが、これだと即対応ができます」と、メリットを説明した。

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鈴木亜久里氏の要望をすぐに実現

 鈴木亜久里氏がレース前日に「スポンサーさんが来たときに、“Welcome ○○様”みたいな表示ができないか」と要望し、翌日には対応できていたという。

 レース業界もどんどんデジタル化が進んでいるが、このARTAのようにデジタルを使ってピット内からスポンサーやお客さんを楽しませる施策も楽しそうだ。今後、導入するチームも増えるかもしれない。

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