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AIインフラスタック「Dell AI Factory」を発表、Dell Technologies World基調講演

Dell COO「AI時代は再び『オンプレミス』と『PC』が重要になる」

2024年05月23日 08時00分更新

文● 末岡洋子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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「Dell Technologies World 2024(DTW 2024)」がラスベガスのTHE VENETIANで開催されている

 Dell Technologiesが2024年5月20日からの4日間、米国ラスベガスで年次イベント「Dell Technologies World 2024」を開催している。今年の主役はやはり「AI」。21日の基調講演では同社 バイスチェアマン兼COOのジェフ・クラーク氏が、オンプレミス環境へのAIインフラの導入を容易にする新たな技術スタック「Dell AI Factory」を発表した。

Dell Technologies バイスチェアマン兼COOのジェフ・クラーク(Jeff Clarke)氏

「AI時代には新たなシステムアーキテクチャが必要」

 クラーク氏は、昨年のDTW 2023からの1年間を振り返り「スピードがどんどん加速している」と語る。現在進行中のAI/生成AI技術の進化は、そのスピード、破壊力において、クラーク氏の40年間のキャリアにおいても「どんな技術も匹敵しない」ものだという。AIがもたらす生産性向上とインパクトは「管理不能」であり、AIによって「ビジネス競争の土台が変わってきた」。そんな見解を語るクラーク氏は、300年前の蒸気機関登場による産業革命になぞらえて、現在を「AI革命」の時代だとする。

 生成AIをビジネスの“同僚”に迎えることで、サプライチェーン、プランニング、顧客サービスなど、あらゆる場面で自動化や効率化を図ることができる。ただし「それを支えるITシステムには、まったく新しいものが必要になる」とクラーク氏は強調する。

 「GPUに高速にデータを供給しなければならない。ベクトル演算に最適化され、高度な並列性を備え、高速で高いスループットを持つストレージも重要だ。生成AIワークロードには、従来とまったく異なるコンピューティングのアーキテクチャが必要だ」

 ここで求められるのは、「プログラミング」や「インストラクション(指示)」が主導するコンピューティングから、「コンテキスト(文脈)」と「推論」が主導し、ユーザーの「意図」に基づくコンピューティングへの変化である。それを支えるのが、今回発表したDell AI Factoryだ。

 Dell AI Factoryは、今年3月に開催された「NVIDIA GTC」でDellが発表した「Dell AI Factory with NVIDIA」を拡張するものとなる。基本コンセプトは「AIのためのインフラ導入を容易にする技術スタック」と同じだが、with NVIDIAがNVIDIAのソフトウェアとハードウェアを中心に構成されているのに対して、今回のDell AI FactoryはNVIDIA以外の技術も含むオープンなものだ。

Dell AI Factoryのアーキテクチャ。高性能なインフラ、オープンなソフトウェアエコシステム、プロフェッショナルサービスによって、顧客企業のAI活用を支える

 「企業の83%のデータがオンプレミスにあり、しかもそのうちの50%がエッジで生成されている。これは『データのある場所』でAIワークロードを実行するほうが効率的であり、安全でもあることを意味する」

 クラーク氏のこの言葉どおり、Dell AI FactoryはオンプレミスへのAIインフラ導入ニーズに応えるものであり、ハードウェアが重要な役割を占める。Dellでは今回、ストレージ、ネットワーク、サーバーのそれぞれで、AIインフラ向けの新製品を発表している。

 まずストレージでは、AIデータ処理向けに最適化されたオールフラッシュのファイルストレージ「Dell PowerScale F910」、PowerScaleに統合される非構造データ向けの新しい並列ファイルシステムソフトウェア「Project Lightning」、最新のストレージソフトウェア「PowerStore 4.0」にAPEXサブスクリプションなどのサービスを組み合わせた「PowerStore Prime」ブランドを発表した。

PCIe Gen5 NVMe SSD搭載の「PowerScale F910」

PowerScale向けの新たな並列ファイルシステムソフトウェア「Project Lightning」も発表

 ネットワークでは、最新の「Broadcom Tomahawk 5」チップセットをベースに、800GbEを64ポート搭載できるAIファブリックスイッチ「Dell PowerSwitch Z9864F-ON」を発表した。

「Dell PowerSwitch Z9864F-ON」。400GbE/800GbEポートを高密度実装したスイッチで、スイッチング容量は51.2Tbpsに達する

BroadcomのCOO、チャーリー・カワス氏(左)も登壇。手にしているのは「Tomahawk 5」チップセット

 Dell AI Factory with NVIDIAでは、最新の「NVIDIA Blackwell」GPUを最大72個サポートし、4Uフォームファクタに8個のGPUを搭載できる「業界で最も高密度」なラック型サーバー「PowerEdge XE9680L」を発表した。

高密度GPUサーバー「PowerEdge XE9680L」

 クラウドコンピューティングの時代には逆風が吹きかけたが、AIの時代はこのようにDellにとってチャンスとなる。Dell AI Factoryは、サーバーやストレージだけでなく「AI PC」も含む。

 Dellは5月20日、米Microsoftが発表した「Copilot+ PC」の新機種として、「Latitude 7455」「Latitude 5455」「Inspiron 14」「Inspiron 14 Plus」「XPS 13」の5機種を発表した。すべての機種で、高速なNPUを内蔵する「Snapdragon X」プロセッサを搭載している点が特徴だ。

高速なAI処理をPC上で実現する“AI PC”を多数発表。右の写真はSnapdragon X Elite搭載の「XPS13」

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