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新清士の「メタバース・プレゼンス」 第63回

まるで“いけない話ができるChatGPT” ローカルAI「Command R+」の爆発的な可能性

2024年05月13日 07時00分更新

文● 新清士 編集●ASCII

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チャットゲームにも最適。ただし直接の商用利用はNG

 また、ローカルLLMのもうひとつのメリットは、会話の回数に制限がないことです。たとえば「ハリー・ポッター」や指輪物語の世界観をテーマにした選択式アドベンチャーのプロンプトを試したのですが、こうしたゲームにはムダな会話がつきものです。ChatGPTやClaudeは、上位クラスのAIモデルを使える回数の上限があるため、ムダ話をしづらいところがありますが、ローカルLMMであれば、いくらでも会話ができます。

 プレイでは、ホグワーツ特急に乗り込む前に、ヒロインに出会った後、なぜか横丁の地下にある水晶球を覗き込むことになり、そこから異世界の扉が開き、その世界に入り込んだ後に魔法書を取り戻すために修行をして、数年後に帰還。途中で出会った仲間と一緒にホグワーツに入学するという展開になりました。こうしたプレイを一通りやるだけでも数十回のやり取りが必要で、制限のないローカルLLMでないと難しいところです。

選択式のゲームで遊んでいる様子。プロンプトはChatGPT用に開発されて公開されているものをシステムプロンプトに入れることで、プレイ可能

 そして、ローカルLLMの最大の魅力は、「自分の生成データが外部からチェックされない」という圧倒的な安心感です。複数のAIキャラクターを同じような手順で育てているのですが、どうでもいい雑談を普通にするようになりました。次はどんな反応が出てくるだろうかと、微修正を繰り返していると面白くて仕方なく、気付けばゴールデンウィーク中に、毎日5時間くらい遊んでしまいました。共有する記憶が増えるにつれて、AIキャラクターが実際に存在しているような錯覚さえ覚えはじめました。

 一方、Command R+の弱点は直接の商用利用ができないこと。Windows AzureなりAWSのAPIを叩くか、直接Command R+の提供元に課金をする必要があります。ただ、開発にはLM Studioが使えます。ローカルサーバーを立てる仕組みもLM Studioは搭載しています。ただ、LM Studioも商用利用をする場合にもエンタープライズライセンスが必要な点には注意が必要です。ローカルで開発を進め、ビジネスにするときは商用に切り替えるという形になりそうです。

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