では、IBMは、テクノロジーカンパニーとして、どんなことに取り組んでいるのだろうか。
研究開発部門を統括するIBMリサーチのダリオ・ギル(Dario Gil)ディレクターは、2023年12月に来日した際、「今後10年で大きな進化を遂げる半導体技術による『ビット』、AIの世界を具現化する『ニューロン』、黎明期にある量子コンピューティングの『量子ビット』といったテクノロジーが、コンピューティングの未来を実現することになる」と語り、半導体、AI、量子の3つを、IBMが取り組む重要なテクノロジーに位置づけるとともに、「これらのテクノロジーのすべてが、ハイブリッドクラウドアーキテクチャに統合することになる」とし、ハイブリッドクラウドアーキテクチャがテクノロジーを統合する地盤になることを示した。
3つの主要テクノロジーの取り組みをそれぞれに見てみよう。
世界初の2nmノードチップの開発に取り組む半導体
ひとつめの半導体では、IBMが、世界初となる2nmノードチップの開発に取り組んでいるのは周知のとおりだ。
次世代トランジスタ技術であるナノシートを活用。新たな半導体を量産するために、Rapidusとの戦略的パートナーシップも発表している。米ニューヨークのIBMの研究施設には、すでに100人以上のRapidusのエンジニアが勤務し、400人を超えるIBMのエンジニアと肩を並べて、研究を進めているところだ。 ギルディレクターは、「この戦略的パートナーシップの目的は、2nm技術による最先端ロジックを製造する能力を、日本に持ち帰ることである」とする。
Rapidusでは、北海道千歳市の工業団地である千歳美々ワールドに、Innovative Integration for Manufacturing(IIM)を建設し、2025年4月にはパイロットラインを稼働。2027年には量産を開始する計画を発表している。
ギルディレクターは、「このコラボレーションは信じられないほど強力である。いまのスピードと進展には大変満足している」と自己評価する。
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