具体的活用例としてAI道路工事検知サービスを展開、災害被害や桜の開花、混雑状況の観測なども視野に
NTT Com、市街地の“いま”の映像を利活用するプラットフォーム「モビスキャ」を発表
2024年01月15日 11時45分更新
NTT コミュニケーションズは、2024年1月12日、市街地を走行するモビリティからの映像データを利活用するための映像分散管理プラットフォームサービス「モビスキャ」を、2024年度上期から提供開始することを発表した。
モビスキャを活用したソリューション「AI道路工事検知ソリューション(仮称)」も同タイミングで提供開始する。
最新技術とキャリアの強みにより、映像データ活用の課題を解決する「モビスキャ」
昨今、市街地をはじめとした映像ビッグデータを利活用した課題解決や価値創造が進む一方で、データ収集やデータの質と整理、プライバシーの保護、維持・管理コストなどの課題も見えてきているという。NTT Comの 執行役員 5G&IoTサービス部長である藤間良樹氏は、「データを利用するユーザーが個々で運用していくのはハードルが高い」と現状を語る。
このような中でNTT Comが新たに展開するのが、市街地映像を効率的に収集・蓄積し、利活用のためのデータを提供する、分散管理プラットフォームサービスであるモビスキャだ。映像は、モビリティパートナー(MP)と手を組み、市街地を走る車などのモビリティにカメラを搭載することで収集する。収集した映像は、意味のある利活用ができるデータとして抽出し、データ活用パートナー(DP)に提供する仕組みをとる。
藤間氏は、モビスキャの提供を始める背景として、映像ビッグデータ活用の課題を解決できる技術の特許を取得したことを挙げる。モビスキャの中核となる特許技術が「最良映像の選別保存」と「分散データ保存」である。
最良映像の選別保存は、複数のモビリティから同じ場所の映像データをサーバー側で受け取った際、最適なデータのみを選んで保存する技術だ。映像取得時間や天候データ、対象物との距離といった、データ活用パートナーが必要とする最適な条件に合わせてデータを抽出できる。
分散データ保存は、撮影したデータをサーバー側ではなく、モビリティ側のSDカードに分散保存する技術である。不必要と判断された映像も一定期間SDカードに保持し、データ活用パートナーが必要とする場合には適宜データを提供する。これらの技術により、データ量が膨大になることによるコスト面での課題を解決した。
映像収集においては、キャリアの強みを活かし、SIMが挿入済みのドライブレコーダーをモビリティパートナーに配布。「多様なユースケースに必要な情報を収集できる仕組みを、効率的に構築していきたい」と藤間氏。今後はドラレコ(ドライブレコーダー)だけではなく、ドローンなど、さまざまなモビリティでの情報収集を目指していくという。
そして、ドコモビジネスの顧客基盤を活用し、モビリティ・データ活用の両パートナーの協業を増やしていくことで、網羅的で品質の高い映像データを蓄積し、質の高いデータを安価で活用できるようなビジネスモデルを構築していく。