メモリの値上がりが、収まりそうもない。
米メディアCNBCの2026年1月29日の報道によれば、アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)は決算発表の場で、「メモリの市場価格は引き続き大幅に上昇している」と述べている。最近、iPhone の売上は好調で、高い需要に応えるためにもアップルとしてはメモリの確保が必要になるが、価格の上昇が影響するとの見方を示している。ただ、クック氏は当面の iPhone の値上げについては明言を避けた。
昨年末から続くメモリ供給不足と価格の高騰は、スマホの価格への波及が避けられそうもない。アイルランドのテック系メディア「シリコン・リパブリック(SiliconRepublic)」は2025年12月16日、200米ドル未満の低価格帯への影響が最も目立ち、部品の価格が20%~30%上昇していると報じている。アップルは、この定義に当てはまる低価格帯のスマホは販売していないが、中価格帯から高価格帯のスマホの部品価格についても10%~15%上昇すると予測している。このニュースは、カウンターポイントという香港の調査会社がソースだ。
この予測が現実のiPhone価格に反映されると、どうなるだろうか。アップルの公式サイトで内蔵ストレージが256GBのiPhone 17は2月1日現在、12万9,800円で販売されている。あくまでも頭の体操ではあるが、仮に1割の値上げが実施されると、iPhone 17は14万2,780円になる。
この連載では、2025年12月16日にも「メモリ供給は“危機的” PCもゲーム機も高値続きか」という記事を出したが、ガジェット好きの諸氏には深刻な問題であるだけに、メモリやSSDを含む半導体の価格をめぐるニュースは継続的に丁寧にカバーしていきたい。
PC、スマホ向けメモリの価格は6割上昇
半導体やITを専門とする台湾の調査会社Trend Forceは1月5日、2026年第1四半期メモリの価格について、以下のような予測を発表した。
従来型DRAMの契約価格:前四半期比55~60%上昇
NANDフラッシュ:33~38%上昇
サーバー向けDRAM:60%上昇
クライアント向けSSD:40%上昇
専門用語が多くてわかりづらいので、細かく説明が必要だろう。まず「従来型DRAM」だが、スマホ、家電などに搭載されている普通のメモリを指す言葉だ。「従来型」は、最新鋭の高速メモリであるHBM(高帯域幅メモリ、High Bandwidth Memory)以外と従来型を区別するために用いられている用語と理解すればよいだろう。
次の「NANDフラッシュ」は、スマホの内蔵ストレージ、PC向けのSSD、USBメモリなどを指す言葉だ。このカテゴリーは33~38%の価格上昇が見込まれている。
サーバー向けDRAMは、データセンター向けのDRAMを指す言葉だ。アマゾンのECサイト、AIとのチャット、Google検索など、様々なウェブサービスの基盤となっている。AIの開発競争で、IT大手各社がこの分野のメモリの調達を加速しており、前の四半期と比べて契約価格が6割上昇すると見られている。
「クライアント向けSSD」は、個別のユーザーの端末を指す言葉だ。つまり、サーバーにアクセスするために使うPCを指す言葉だと理解していいだろう。PC向けのSSDも4割の上昇と予測されている。
スマホ市場は2%以上の縮小

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