最新第5世代も出た! 圧倒的な性能で次世代を切り開くXeonをラーメンにしてみた
人気ラーメン店主に本当に「Xeonラーメン」 を作ってもらったら、究極なCPUの味がした
2023年12月22日 10時00分更新
やあ、Xeon(ジーオン)大好きなASCIIのオオタニだ。前回、究極のサーバーCPUである「インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー(以下、Xeon)」のすごさを、なんとかラーメンにしてほしいと人気ラーメン店「魂麺」の山西店主にお願いしたところ、悩みながらも作ってもらえることに(関連記事:究極のサーバーCPU「Xeon」を究極のラーメンに! 人気店主を説得せよ)。
作ってくれたラーメンがこちらドーン! なんじゃこりゃー!!どうですか、この究極感。普段見かけないようなエクストリームな具に目を奪われるが、スープと麺のこだわりもすごいのである。山西店主に開発秘話について聞くとともに、究極を謳うXeonラーメンをさっそく試食してきた。
贅を尽くした山と海の幸は個性豊かなアクセラレーターたち
さて、今回訪問したのは山西さんのホームグラウンドである本八幡の「魂麺」。慣れたキッチンで思う存分、腕を振るってもらおうという魂胆だ。
打ち合わせのときは、山西さんも普通のイケメンだったが、着替えるとすっかりラーメン屋店長である(当たり前)。「いやあ、大変だったよー。なんだかラーメン作っている感じゃなかったなあ」と言いながら、ちょっと楽しそうな山西店主。渾身作であるXeonラーメンを振る舞ってくれた。
さっそくASCIIらしくXeonラーメンのスペックについて解説していこう。
まず目に付くのは贅を尽くした具たち。巨大エビを筆頭に、チキンレッグ、角煮、スペアリブ、ジャンボ牡蠣フライ、鯛、カニ、まいたけ、トマトピックなど山の幸、海の幸がドーンと並べられており、中央には青いひまわりでトッピングされた白髪ネギが盛られている。とにかく考え得る最高食材を取り寄せたという。
山西店主曰く、向かって右が山の幸、向かって左が海の幸で、中央にあるのは富士山という世界観で、あらゆるワークロードを処理できるXeonの汎用性の高さを表現しているという。青いひまわりは富士山の色を表現する手段でもあるが、もちろんインテルのコーポレートカラーだ。「神は細部に宿る」というが、山西店主、さすがの芸の細かさと言えよう。
これらの具は、説明するまでもないが、Xeonに搭載されたアクセラレーターたちだ。
もっとも目に付くのは、どんぶりを東西に分断する巨大なエビ。AIでも、BIでもなく、EBI(エビ)。これは最新の第4世代Xeonに搭載されたAIアクセラレーターのインテル AMX(アドバンスト マトリックス エクステンション)だ。AMXを活用すると「インテルDLブースト」というAIアクセラレーターを搭載した前世代と比べても、3~10倍の性能向上が見られるとのこと。汎用プロセッサーなのに、アクセラレーターや命令セットレベルでAIの推論や学習を効率化できるとは、なんともお得。Xeonでも一推しのアクセラレーターということで、Xeonラーメンの中央に鎮座してもらった。
ほかの具もアクセラレーターとして、重要な役割を果たしてしている。具体的には、チキンレッグとスペアリブはデータの暗号化・復号化を高速化する「インテル QAT(クイックアシスト テクノロジー)」、角煮はデータ転送やレプリケーションなどを高速化する「インテルデータ ストリーミング アクセラレーター(インテルDSA)」、ジャンボ牡蠣フライはデータベースのクエリなどをインメモリで処理する「インテル インメモリ アナリスティック アクセラレーター(インテルIAA)」、カニは負荷に合わせてワークロードを複数のCPUに動的に分散する「インテル ダイナミックロードバランシング(インテルDLB)」を表している。処理されるデータになった気分でアクセラレーターを味わうと、それぞれの個性を堪能できるという趣向だ。
こだわりのスープはメニーコアな素材のまとめ方が重要
こだわりのスープはXeonのCPU本体を表している。見た目ではすごさがわかりにくいスープだが、ラーメンの味自体を決定付ける最重要コンポーネント。鶏ガラや豚骨でとった出汁で「かえし」と呼ばれるタレを割り、油でコクとうまみを出すというのが一般的だが、作り方はまさに千差万別で、素材のバリエーションも幅広い。また、手間のかけ方がそのまま味につながっていくので、職人としてはまさにこだわりポイントと言える。
まずは今回用意したスープの素材を紹介しよう。
・比内地鶏(秋田)
・ホロホロ鳥(岩手)
・菜彩鶏(岩手)
・黒豚(鹿児島)
・モミジ=鶏の足
・焼きあご
・羅臼昆布(北海道)
・ホタテ貝柱(北海道)
・鰹本枯節
・さば
・宗田節(高知県)
・ハマグリ
・シジミ
・アワビ(長崎)
・じげんの塩(新潟)
・笹川流れの塩(新潟)
・ぬちまーす(沖縄)
・赤酒(熊本)
・正金うすくち醤油(香川)
「まったく、どんだけこだわるねん」という感じだが、これぞまさにメニーコア。複数のコアが異なるワークロードをこなし、全体として高い性能を発揮するというXeonの特徴をこれ以上、適切に表現したラーメンを私は知らない。まあ、そもそもXeonのラーメン化プロジェクト自体を知らないのだけど。
しかも、これらの材料を単に混ぜればいいわけではなく、うまくまとめるにはプロの技が必要だ。試行錯誤を続け、理想の味に近づけていく工程。「スープは基本、ブラッシュアップの世界。とにかく研ぎ澄ませてスープを作ったよ」とは山西店主の弁。その点、今回のXeonラーメンのスープは、まさに基本をひたすら研ぎ澄ませた安心感が魅力だ。
ともすると派手なアクセラレーターに目が行きがちだが、Xeonの真骨頂は20年以上に渡って、サーバーCPUとして世界中のシステムを支えてきた実績と安心感。食べる人が感じるこのスープと同じ実績と安心感があってこその、アクセラレーターのようなイノベーションと言えるわけだ。
そして、アクセラレーターやCPU、キャッシュなどを相互につなぐI/Oは、極太と極細の2種類の麺で再現されている。コア数が増加し、数多くのアクセラレーターとの接続が必要になると、どうしてもI/Oの広帯域化が必要となる。極太麺は、そんなI/Oの広帯域化を表している。これだけ太ければ安心だ。
たとえば、どんなネットワーク、ストレージ、アクセラレーターが来てもボトルネックにならない最大80レーンのPCI Express Gen5、従来のDDR4に比べて1.5倍の帯域幅を誇るDDR5など、大容量伝送も容易なI/Oの帯域幅の広さを表している。一方の極細麺はシナプスのような神経網を意味しており、Xeonだからこそ可能な高度なCPUや各デバイス同士の連携を表している。こちらの麺も、国産小麦である北海道「春よ恋」、香川「さぬきの夢」「はるみずき」など、こだわり素材を採用している。
完成したXeonラーメンを試食 そして知る具、スープ、麺との一体感
さて、冷めないうちに、Xeonラーメンを食べることにしよう。夕方に訪問しただけあって、いい感じにお腹も減っている。これなら全部行けそうである。
まずは巨大な海老は豪快にかじる。同様に牡蠣フライ、チキンレッグなども次々と平らあげていく。さすがに最高級素材だけに普通にうまい。ご飯が食べたくなるが、ラーメンの具であることを忘れそうになる。それくらい存在感がでかい。Xeonにおけるアクセラレーターの重要さを、こういう形で思い知るとは思わなかった。
アクセラレーターは、本来CPUで処理をしなければならない処理を担当する外付けの専用演算装置になる。その点、CPUを表現しているスープから、具として外出しされたアクセラレーターというイメージは圧倒的に正しい。一方で、同じどんぶりの中にスープ(CPU)と具(アクセラレーター)が同居しているため、処理が高速でボトルネックがないというメリットがある。具をしっかり咀嚼すると、すべてがどんぶりの中で完結するXeonのメリットを直感的に理解できるのだ。
大きな具を食べた後は、スープとラーメンに取りかかる。まずスープがヤバい。ガチャガチャした見ための具が油絵だとすると、こちらは滋味深い枯山水の水墨画だ。海外から帰ってきて、帰り道でラーメンを食べたとき、スープを口にしたときに「ハア~」と嘆息してしまうような、カミングホームな安心感。しょっぱさと出汁のうまみがスーッとお腹に入り、「おかえりなさい」と言ってくれるようなスープ。メニーコアとも言えるさまざまな素材が調和することで生み出す、この絶対的な安心感こそXeonだ。
いよいよ麺に箸を付ける。個性あふれる具やうまみを凝縮したスープとも十分張り合える極太麺の食べ応えを楽しみつつ、鯛やネギなどの縁の下の力持ちとも言える具を細麺にからめて、その一体感を堪能できる。すべてを食べきるのはけっこう時間がかかったが、なんとか完食できた。
カオスな世界でもXeonなら戦える そんな強さと尊さがにじみ出た逸品
今回のXeonラーメンは、山西店主曰く、商品として出したら、たぶん一杯1万2000円とのこと。でも、個人的にはここまでこだわったスーパーラーメンであれば、もっと高くてもよいかもしれないと思う。お見事としか言い様のないXeonラーメンだった。まさに
エクストリーーーーーム!!
である。
さて、今回のXeonラーメンの特徴を一言で言い表すなら、ずばり一体感だ。一見するとバラバラな具、スープ、麺がまさに1つの「世界観」として再現されており、私が感じた「全部盛り=Xeon」だという直感にもぴったり合っていた。
メニーコアで処理されたデータのスープが極太麺にからむ様は、まさに今のコンピューティングを見るようだ。古典的な演算処理に加え、データベースのクエリ、リアルタイム性を求めるWebトラフィック処理など、種類の異なる複雑なワークロードが満ちあふれたカオスなこの世界。そして生成AIの台頭。膨大なパラメーター数となる大規模言語モデルの演算処理と生成AIの普及により、データセンターでは処理能力と電力の不足が起こり、人間の生活を脅かすことになる。これはわりとマジな話だ。
そんな中、いよいよ第5世代のXeonが発表された。現行の第4世代と同じプラットフォームでありながら、最大コア数は60から64コアにメモリへのアクセス速度やキャッシュの増量が図られ、さらなる性能向上が実現している。究極ぶりにさらに磨きがかかったわけだ。
最新第5世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサーの詳細はこちら
アクセラレーター、プロセッサー、I/Oのバランスで、圧倒的な性能を誇るXeon(ジーオン)は、あらゆるワークロードを力強くさばいてくれる救世主的な存在。そんな次の世界を切り拓くXeonの強さと尊さがあふれ出したこの一杯に、Xeon推しの私は涙を禁じ得ない。ありがとうXeon、ありがとうラーメン、ありがとう山西店主。