中国では自動車メーカーがスマホも手がけるように
2023年9月20日、中国で新しいメーカーのスマートフォン「NIO Phone」が発表されました。NIO(上海蔚来汽車)から出てきたこのスマートフォン、いったいどんなメーカーかと思いきや実は自動車メーカーでした。
NIOは2016年にスポーツEV(電動自動車)「EP9」で市場に参入した若いメーカーです。とはいえNIOの自動車なんて日本で見かけることはありません。そこで中国・深センにあるNIOのショールームに出向き、どんなEVが販売されているのか見てきました。
NIOがいきなりスポーツカーから参入したのは話題性を取るためだったのでしょう。2017年には乗用車タイプの「ES8」を発売、2018年にはSUV「ES9」を投入するなど、順調に車種を増やしています。
NIOの現行EVはEC6、EC7、ES6、ES7、ES8、ET5、ET5T、ET7の8車種がカタログに載っています。イチオシモデルはEC6で、こちらは2020年登場の5シータークロスオーバーSUV。2025年に第2世代が登場する予定とも言われています。
NIOのEVはスマートフォンとの接続を考えた大型タッチパネルディスプレーが搭載されています。このあたりはテスラなどでもおなじみのものです。車の各種操作、バッテリー残量確認、地図検索などが可能。サイズは12.8型と大きく、助手席側からも操作できます。
また、このディスプレーの前方、ダッシュボード中央に配置された丸い玉は、顔の表情を表示できるAIデジタルアシスタント「NOMI」が搭載されています。NOMIはNIOが開発したもので、NIO PhoneからもこのNOMI機能が利用可能。グーグルアシスタントなどメジャーなAIアシスタント同様に、音声で指示や質問ができます。回転もするので話しかけた人の方向を向いて表情を表示。小型のロボットと話しているような楽しい体験が得られます。
2023年中にヨーロッパに投入される「ET5T」は荷物スペースを増やしたエレガントなデザインのステーションワゴンで、ライバルはフォルクスワーゲンのパサート。もはや中国の新規メーカーのEVが、直接大手メーカーの自動車と対抗する製品を作り始めているのです。スマートフォンでいえばシャオミが登場してアップルやサムスンに真っ向から対抗た過去を思い起こさせます。
そして「ES」シリーズ最新モデルが「ES6」。2023年にモデルチェンジした2世代目の中高級SUVで、ヨーロッパではアウディの「S6」と名前が似ていることから「EL6」として販売されているとのこと。
ショールームにはNIOの自動車のシャーシプラットフォームや電動モーターを展示。また家庭用の小型充電器も紹介されていました。この充電器は7.5kW出力で、100kWのバッテリーを20%から99%まで10時間で充電できます。帰宅後に充電開始すれば翌朝にはほぼフルにできるわけです。
シャオミが自社OSの名前を「HyperOS」に変更し、スマートフォンだけではなくIoTデバイスなどと統合した総合OSへと変革を計ろうとしています。シャオミはEVを開発中で2024年にも量産を始めるといっています。また、すでにファーウェイが自動車メーカーと組んでEV「AITO」を商用化しているなど、車とスマートフォンのシームレスな融合が進んでいます。
NIOもEV単体だけでは生き残りは難しく、スマートフォン連携を図るためにも自社ブランドでNIO Phoneを出してきたのでしょう。今後ほかのEVメーカーからも似たような動きがでてくるかもしれません。
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