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モーダル小嶋の「そうだ、ラーメンにしよう」 第9回

秋の定番メニューが今年も登場:

三田製麺所「濃厚煮干しつけ麺」濃厚だけどバランスよし

2023年09月05日 16時00分更新

文● モーダル小嶋 編集●ASCII

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濃厚煮干しつけ麺

「濃厚煮干しつけ麺」
三田製麺所
1090円
https://mita-seimen.com/news/2023/08/31/niboshi_2023/

スープはいつもの、つけだれは煮干し

 煮干しといえば、ラーメン店のスープに使われることの多い食材です。とはいえ、大量の煮干しを使って風味を際立たせるお店もあれば、あくまでダシの一部に留めて使用するお店もありますね。どんな食材にも言えることですが、ただ使うだけではなく、“どのように”使うかが肝心といえます。

 つけ麺専門店 三田製麺所は、「濃厚煮干しつけ麺」を9月5日から国内の全店にて期間限定販売します。煮干しが入って、濃厚。なんとわかりやすいネーミングであることか。

濃厚煮干しつけ麺

見た目はノーマルなつけ麺と同じです

 煮干しの生産量全国1位をほこる長崎県。最西端に位置する魚介類の宝庫、五島列島沖で水揚げされたカタクチイワシを使用した煮干しをつけだれに使用しています。「三田製麺所伝統のコシのあるオリジナル麺にたっぷりと絡めて、長崎の豊かな海の恵みをご堪能下さい」とのこと。

 三田製麺所の秋の定番メニューとなった濃厚煮干しつけ麺ですが、ポイントはつけだれ。定番のスープに、煮干しのタレを加えているのです。そのため、いつもの三田製麺所のつけ麺と、根本的には同じ味の構成。そこに煮干しが加わっている感じ。

濃厚煮干しつけ麺

ポイントはつけだれ。味の基本はそのままに、濃厚な煮干し感をプラス

 毎秋に登場するので、「その都度、リニューアルされているのかしら?」と思うかもしれません。三田製麺所の広報に尋ねたところ、「定番のスープは、味わいを大きく変えることはないものの、常にブラッシュアップしている。一方、煮干しのタレは登場以来変えていない」とのことでした。

濃厚煮干しつけ麺

もちろん、麺はいつもと同じ

 そういったわけで、“濃厚煮干し”とはいえども、いつもの三田製麺所のバランスと大きく異なるわけではありません。「煮干しがプラスされました」みたいなイメージでとらえるとよろしいかと。

濃厚煮干しつけ麺

濃厚であるがゆえに、麺につけだれがよく絡みます

 それでは、肝心の煮干しの主張はどうでしょうか。確かに、濃厚というだけあり、しっかりと濃いです。香りも味わいも詰まっているというか、濃厚というより“濃縮”という風情。スープ自体のカツオの旨味と重なって、深いコクが堪能できます。

 このつけだれは、麺とも相性がいいです。もともと三田製麺所の麺は太めのため、煮干し感が強くなっても、存在感が失われません。むしろ、煮干しの主張の強さをしっかり受け止めています。このあたりのバランスも巧みですね。

濃厚煮干しつけ麺

やはり、煮干しの香りがいいですね

 ただ、煮干し特有のエグみのようなものは、しっかり抑えているとのこと。そのため、濃縮した“煮干し感”がありつつも、後に残る苦味のようなものは少ない。多くの人に受けいられそうな味わいになっています。

濃厚煮干しつけ麺

具材も、煮干しの香りをまとうだけで、いつもとちょっと違う感じになります

濃厚煮干しつけ麺

メンマの食感も、濃厚なつけだれの中で際立ちますね

 そうそう、煮干しのダシがしっかり出ているので、食べ終わったあとのスープ割りの雰囲気もいいですね。通常よりホッとする味わいになっていると感じました。どうせなら、最後の一滴まで煮干しを味わい尽くしましょう。

濃厚煮干しつけ麺

スープ割りも忘れてはいけないところ

濃厚煮干しつけ麺

煮干しが効いて、よい味わい。スープ割りをしてもコクがあります

 惜しむらくは、2021年は900円、2022年は990円だったところが、2023年は1090円になっていることでしょうか。まあ、飲食に限らず物流費の高騰や値上げは避けにくい時流なので、致し方ないところではありますが……。

 煮干しを際立たせつつも、エッジが効きすぎていないのがよいところです。カドが立っていないと言えば、伝わりやすいでしょうか。もっとも、「とにかく、匂いすぎるほど煮干しがガツンときてほしい」という人には、すこし物足りないかもしれません。そのあたりは好き好きですね。

 ただ、全体的なバランスを損なうことなく、しっかり煮干しの濃厚さを感じさせるつくりにしてあるのはさすがでしょう。安心して食べられる、濃厚だけどバランスのよい一杯になっていると感じました。

モーダル小嶋

モーダル小嶋

1986年生まれ。「アスキーグルメ」担当だが、それ以外も担当することがそれなりにある。編集部では若手ともベテランともいえない微妙な位置。よろしくお願い申し上げます。

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