ASCII.jpの読者であれば、多かれ少なかれデジタルガジェットに興味があるハズ。中でも、分解や修理といった記事は、普段見ることができない中身が見れるとあって、気になる記事になっているという人も多い事でしょう。
そういった記事で、必ずと言っていいほど出てくるのが「iFixit」です。iFixitはガジェットの分解・修理情報を提供しているサイトで、新製品が出れば真っ先に分解して中身を公開することでも知られています。発売直後の分解記事は多くのニュースサイトで取り上げられますが、そのほとんどがiFixitからの引用だったりします。
iFixitの目的は?
iFixitはそんな分解マニアの聖地ともいえる場所ですが、もちろん目的は修理。実際、数多くの修理情報が公開されており、これらを見ていると、ちょっとした修理なら自分でできるような気がしてくるから不思議ですね。
ただし、修理するには当然ながら分解が必要です。しかし分解しようにも、製品の多くは特殊形状のネジが使われていたり、強力なテープで固定されていたりと、ハードルは高め。少なくとも、手元の適当なドライバーやカッターナイフで挑むのは無謀です。
こういった人のために特殊な工具が数多く販売されていますが、安さに釣られて買うのは考え物。ドライバーの先が鈍っていてネジをなめてしまったり、こじ開けツールが折れて使い物にならなかったりと、必要のない苦労をすることになります。
そこでオススメとなるのが、iFixitから発売されている分解ツールセットの「iFixit Pro Tech Toolkit」(実売価格1万2080円)です。今回、お借りして、その実力を検証してみました。
豊富なビットの揃ったドライバーセット
数多く用意されているツールの中でも、まず最初に触れておきたいのがドライバーセット。ビットはプラスやマイナス、ヘクスローブ、六角といった一般的に使われるものはもちろんのこと、三角や四角、SIMピン、そしてゲーム機でしか使われていないような特殊なものまで用意。形状は18種類、サイズ違いを合わせて64個もセットになっているのが特徴です。
実は手元に安物のガジェット用ドライバーセットもあるのですが、それには98個のビットが入っています。ただし、3割くらいは2個ずつあるため、種類はもっと少なめ。さらに、使わないような形状やサイズがある、間違って別のものが入っている、加工ミスで先端が荒れているなど、使う前によく確認しないと逆にネジを潰してしまう危険があります。とくに小型のものほど精度がひどく、さすがに安心して使えないので、買ってみたはいいものの封印していました。
その点、Pro Tech Toolkitのビットはさすがの出来。先が細いものでもキッチリした形状で、不安なく使えます。
個人的にうれしかったのは、ゲーム機で使われている特殊なビットが用意されていたこと。某ジョイコンの修理に必要なY字や、古くは某キューブ型ゲーム機の特殊ネジが回せます。
いたずらに種類を増やして水増しした"数"を誇るのではなく、使えるものを厳選してセットにしているというのがうれしいですね。
このビットを取り付けるドライバー本体は、スムーズに回転する頭部、滑りにくいよう格子状に刻まれたグリップ、磁石でビットを取り付けられるソケットが特徴。とくに頭部の回転は滑らかで、押し付けながらネジを回すときでも抵抗にならないのが魅了です。
便利なのが、曲がる延長ソケットが付属していること。狭い微妙な角度のネジを回す場合や、周囲にジャマなものが多く、奥深くにあるネジを回すときに重宝します。
なお、ケースのフタは裏側に仕切りがあり、小さな四角に区切られています。外したネジを分類して置いておくのに便利なので、トレー代わりに使うといいでしょう。
(次のページ:ディスプレーやケースをこじ開けるオープニングツール)

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