スマホでは味わえない「愉しみ」 がそこにある
【実機レビュー】透ける基板に胸がトゥンク…!「PaperShoot」で俺は撮る
2023年07月27日 18時00分更新
いま、どんなカメラを使っていますか?
筆者自身は光画部(写真部の旧称)に入ったことはないですが、フィルムカメラの「キヤノン オートボーイ」のあと、数多くのデジタルカメラを使ってきて、現在はスマートフォン標準のカメラを日常的に利用しています。発表会や展示会の撮影すらスマホで済ませており、もう完全にメインのカメラはスマホです。しかし、たまーにレトロなカメラのファインダーを覗きたくなるんですよね。というわけで今回は、レトロな見た目のトイカメラ「PaperShoot」をレビューいたします。
基板と紙製ケースで組み立てる手作り感満点のトイカメラ
PaperShootは「着せ替え」が売りのトイカメラ。基本セットは、基板がむき出しの「カメラボード」と紙製ケース「デザインペーパーケース」で構成。さまざまなルックスに変更可能です。また基板を見せる&魅せる「クリアカバーケース」や「CROZヴィンテージ 真鍮フレーム付」なども用意されています。
ちなみに筆者はスケルトン仕様ゲームボーイの直撃世代。「トランスルーセント」仕様のガジェットには、条件反射的に「トゥンク」してしまいます。
ここでカメラとしてのスペックをお伝えしておきましょう。イメージセンサーは1800万画素、焦点距離は22mm、F値は2.2、シャッタースピードは1/30~2000、ISO感度は100~3200。露出とホワイトバランスの自動調整機能を備えています。
本体サイズは109×70×12mm、重量はカメラボードとデザインペーパーケースが合計60g、それにネジ、電池、SDメモリーカードを加えると実測93.23g。電源は単4電池2本を使用(充電池対応)。記録媒体は128GB以下のSDメモリーカードを使用可能。なお、Wi-Fi付きSDメモリーカードにも対応しています。スマホアプリからWi-Fi付きSDメモリーカードにアクセスすれば、屋外でも撮影画像をチェックできるわけです。
多彩な純正アクセサリーでトイカメラと一線を画すカスタマイズ性
PaperShootにはデザインペーパーケース以外にも、独自のSIMカードを装着することで撮影モードをカスタマイズする「ファンクションカード」、回転させることでスピードを変えつつ動画を撮影できる「ハンドクランク」、魚眼レンズやマクロレンズなどの「追加レンズ」、円形状ライト「リングライト」などの純正アクセサリーが用意されています。本製品のカスタマイズ性の高さは、一般的なトイカメラとは一線を画していますね。
画質は予想していたより綺麗、手を伸ばせば自撮りも可能
さて、実際に使ってみた感想ですが、やはりビューファインダーを覗くという行為が現代では逆に新鮮。しかも、光学ファインダーでも電子ビューファインダー(EVF)でもない、ただの四角い穴ですから、大体の目安にしかなりません。しかし、それがイイ!
そして一般的なデジカメやスマホのようにディスプレーは搭載されていないので、Wi-Fi付きSDメモリーカードでもなければ出先で撮影画像を確認できません。でも、その不便さ故に、家や宿に帰ってから撮影した写真をじっくり鑑賞するという楽しみが生まれるのです。このじらされ感がたまりませんね。
昭和世代としては、「綺麗な景色をスマホの画面越しに眺めているなんて変な感じ!」としょっちゅう思っておりました。しかし、PaperShootはすぐSNSに上げられないからこそ、自分の目で実際の景色を自分の目でじっくりと眺められます。
……なーんて書いたりしましたが、今回の試用中、スマホでも同じ景色を撮影したことを懺悔します。スマホ、SNSへの依存症からなんとか脱却したいです。
肝心の画質ですが、トイカメラのイメージを覆すほどよかったというのが率直な感想。スライドスイッチで、カラー、モノクロ、セピア、ブルーと異なるエフェクトをかけられるのも便利ですね。個人的には「セピア」が昭和っぽくていいなーと思いました。
ただし、太陽光の方向を意識して撮影しないと、レンズに光が入り、かなり極端にゴーストが発生してしまいます。逆光や半逆光は基本的に避けたほうがよさそうです。
PaperShootの写真解像度は4896×3672ドット。前述のとおり、どのぐらいの範囲を撮影できているのか判断しにくいのですが、解像度が高いのである程度トリミング可能。基本的には広めに撮っておいたほうが、あとでリカバリーしやすいですよ。
自撮りができるかどうか心配でしたが、手を伸ばして撮影すればちゃんと自分にもピントが合いました。毎度オッサンの顔を晒して大変恐縮ですが、自撮りが可能であるという事実をどうしてもお伝えしたかったので、ご容赦ください。
ハンドクランクにより可変スピードで動画撮影を楽しめる「Vari-speed Recording」を使い、ハンドクランクを速く回すと、このような早回し動画を撮影できます。動画はハンドルを回しながら歩いているのですが、手振れ補正機能は搭載されていないので揺れが目立ちますね。「Vari-speed Recording」を使用した際には音声は記録されません。
ハンドクランクをゆっくり回すと滑らかな動画を撮影可能です。
こちらは電池給電時にタイムラプスと10秒動画を撮影できる「Battery-Powered Recording」で10秒動画を撮影してみた動画です。ちなみにカラーパレットを適用して10秒動画を撮影できる「Battery Powered Color Palettes Recording」でも音声収録は可能です。
不便だからスマホにはない「愉しみ」を味わえる
レトロカメラの外観も再現可能
最後に恒例の完全主観による評価をお届けします。エモ度は100点満点中90点。ビューファインダーを覗くという行為、出先では撮影画像を確認できないという制限は、逆に、最新のスマホカメラにはない「愉しみ」だと思います。
レトロ度は100点満点中95点。今回、伊豆旅行にPaperShootを持っていったのですが、通りすがりの若いカップルが「なんだアレ?」という目を向けてきました。レトロな外観の注目度は高いようです。多彩なレトロカメラをモチーフにしたデザインペーパーケースが2140円で販売されており、着せ替えを手軽に楽しめるのもポイント。
PaperShootはトイカメラとしてはちょっとお高め。しかし、そのぶん画質は高く、購入後に豊富な純正アクセサリー群で機能、外観のカスタマイズを存分に楽しめます。性能や機能性はほどほどでよいので、撮影という行為を新鮮な気持ちで楽しみたいという方に、本製品は強くお勧めできる1台です。
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