SaaS型ERP「S/4HANA Cloud PE」やベストプラクティス、移行支援メソッド&ツールなどをまとめて提供
中堅中小企業の成長と変革を支援、「GROW with SAP」国内提供開始
2023年07月13日 07時00分更新
SAPジャパンは2023年7月12日、中堅中小企業向けのクラウドERPソリューション「GROW with SAP」の国内提供開始を発表した。パブリッククラウド(SaaS)版ERPの「S/4HANA Cloud, public edition」(S/4HANA Cloud PE)を中核に据え、事前設定済みの業界ベストプラクティス、定着化/変革加速化のためのサービス、コミュニティとラーニング(学習)などをパッケージして提供することで、中堅中小企業における基幹システムの迅速なクラウド移行と刷新、活用を促す狙いがある。
同日に開催された記者発表会では、GROW with SAPを提供する市場背景や構成する製品/サービスやそれぞれの役割などが語られた。さらに、GROW with SAPを早期導入したNKKスイッチズにおける導入目的や採用背景も紹介された。
テクノロジーだけでなく「ベストプラクティス」「ラーニング」も提供
まずSAPのグローバルVPで、S/4HANA Cloudソリューションマネジメントの責任者を務めるジョナサン・ロウズ氏が、GROW with SAPの構成要素や、それにより実現を目指すものについて紹介した。
GROW with SAPは、クラウドERPのテクノロジーを提供する「ソリューションコンポーネント」、その定着化や変革の加速化を促す「サービス」、顧客が活用と学びを深められる「コミュニティとラーニング」で構成される。
ソリューションコンポーネントでは、パブリッククラウド(SaaS)版のS/4HANA Cloud PEを中核に据え、そこにSAPが持つ業界ごとのベストプラクティスを事前設定済みで組み込む。“Fit-to-Standard”アプローチによって「バックオフィスからフロントまで効率良く事業運営ができ、しかも効率良く事業の拡大を図ることが可能だ」(ロウズ氏)。
その一方で、顧客ごとのカスタマイズ、機能拡張を可能にする「SAP Buness Technology Platform(SAP BTP)」も提供し、「ベストプラクティスだけでは不十分だと感じる顧客」(ロウズ氏)に独自のイノベーション機会を用意する。なお、SAP BTPにはノーコード/ローコード開発ソリューションの「SAP Build」も含まれており、容易に追加機能の開発が可能だ。
定着化/加速化のためのサービスでは、クラウドERPへの移行を成功させるためのツールと方法論を提供する「SAP Activate」、導入時の一定期間、一定価格でサービスをSAPパートナーからデリバリする「Packaged Activation Services」、そして迅速なERP立ち上げと価値実現を支援するスキル豊富な「パートナーエコシステム」を提供する。
そしてコミュニティとラーニングでは、顧客とSAP、パートナーが参加するオープンコミュニティ、また無償で学習できるSAPのラーニングプラットフォームを提供する。「コミュニティを通じて、たとえば最新の機能をどう使うのか、どんなビジネスメリットがあるのかといったことを互いに学び合うことができる」(ロウズ氏)。
ロウズ氏は、中堅中小企業がこうした製品/サービスがパッケージされたGROW with SAPを導入することのメリットを4つ挙げた。
「クラウドERPを素早く確実に、自信を持って導入できるというだけではない。導入すればすぐに、業界ベストプラクティスに基づいたビジネス運用ができる。もちろんベストプラクティス以上のものが必要だということも理解しており、顧客が独自のイノベーションを導入して、ビジネスモデルの再構築やプロセスの変更を行うことも可能にしている。(SAP BTP上で開発することで)カスタマイズをしすぎて不具合が生じるのではないか、と心配する必要もない。複雑さを増すことなく得意先や市場、製品を追加できるようになり、制限を受けることなく事業成長が可能だ」(ロウズ氏)
なおロウズ氏は、GROW with SAPは「これまでSAP ERPを導入したことのない中堅中小企業」を主なターゲットとしたオファリングだと説明した。