Bergamoの性能はXeon Platinumの約3.7倍
さて肝心の性能である。そもそもBergamoはクラウドワーク向けのCPUとして設計された。ここで言うクラウドワークというものの説明が下の画像だ。
要するにBergamoが利用されるクラウド向けの場合、あるアプリケーションを長く動かすというよりも、極めて短い(下手をするとミリ秒オーダー)時間で処理をして、すぐ別の処理に切り替わる、というコンテクストスイッチングの多そうな処理が主体となる。
こうした処理では大量のキャッシュを積んでも性能が上がりにくい(扱うべき処理データがミリ秒単位で変わるので、煩雑にメモリーをランダムアクセスする必要が出るので、キャッシュの効果が出にくい)し、そうなるとメモリーアクセス待ちの時間が結構長くなりがちなので、ターボなどで動作周波数を引き上げる前に下手をすると処理が終わりかねない。
こうしたケースではコア数をそのまま増やす方が有利というわけだ。実際にクラウドワークの比較では競合を大きく上回る性能を発揮する、としている。
おもしろいのは製品SKUである。トップエンドはEPYC 9754で、これは128コアの構成だが、その下にSMTを無効化したEPYC 9754Sがラインナップされていることだ。
これは主に性能とライセンスに起因する。下の画像はMemcachedの性能を比較したものだが、要するにプロセッサーあたりの性能を高めたいのか、スレッドあたりの性能を高めたいのか、は顧客がどこにそれを使うのかで変わってくる。
ただ、「ではスレッドあたりの性能を高めたければBIOS SetupでSMTを無効にすればオッケー」とはならないのは、ここにライセンスコストが絡んでくるためだ。クラウドではさまざまなアプリケーションが動いており、もちろん有償のものは多いのだが、そうした有償のアプリケーションの中には「プロセッサー数でライセンス料が決まる」「コア数でライセンスが決まる」「スレッド数でライセンスが決まる」とさまざまなものがある。
ここで難しいのが、こうしたライセンスの場合は「BIOSでSMTを無効化したから128スレッドです」といっても通じず、256スレッド分のコストを要求されることだ。したがって、最初からSMTを無効にしたEPYC 9574Sを用意したというわけだ。こちらはBIOS SetupをいじってもSMTを有効化できないので、ライセンス料は128スレッド分で済む。
AMDはさらに、Bergamoを利用した場合にサーバーをどれだけ削減できるかという試算も示しているがこれは一例でしかなく、構成によって損得はだいぶ変ってくるのであくまでも参考でしかない。
ちなみにDellがすでにこのBergamoを搭載した製品を4シリーズ用意したことも同時に発表された。
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