新たなソニーのフラッグシップモデル「Xperia 1 V」は、ソニー独自開発の新しいイメージセンサー「Exmor T for mobile」の搭載により、スマートフォンらしさを維持しながら1インチセンサーに匹敵する性能を実現したカメラ機能が大きな特徴。発売前の試作機をお借りできたので、カメラを中心にその実力を探ってみよう。
滑りにくさ重視で撮影しやすくなったボディー
まずは外観から確認すると、Xperia 1 Vの画面は21:9でディスプレーサイズが6.5型、4K画質でリフレッシュレート120Hzと、前機種「Xperia 1 IV」シリーズを踏襲。サイズと重量も約71×165×約8.3mm、重さ約187gと、前機種の「Xperia 1 IV」(約71×165×約8.2mm、SIMフリーモデルを除き約187g)と、あまり変わってはいない。
とはいえ、デザイン面でまったく違いがないかというとそうではなく、最も大きな違いは背面にある。Xperia 1 Vの背面は見た目のデザインこそ前機種と大きく変わっていないのだが、実際に触れてみるとかなりの違いがある。
その理由は、きめ細やかなテクスチャーが施されたフロスト強化ガラスを採用していること。微小のドットで触感はサラサラというよりザラザラとした印象なのだが、かといって不快感はなく、指紋が付きにくいうえに滑りにくいボディーを実現している。
加えて側面にも筋状の溝があることから、撮影時に端末を片手で持っても滑りにくく、落としにくい。カメラでの撮影にこだわるXperiaシリーズだけあって、より撮影しやすさに重点を置いた配慮には好感が持てる。
その側面のインターフェースを確認すると、右側面に音量キーと指紋センサーを備えた電源キー、そしてXperiaシリーズのハイエンドモデルに欠かせない存在となったシャッターキーを搭載。底面にはUSB Type-C端子、上部には3.5mmのイヤホンジャックが備わっている。
暗所の撮影に非常に強い新イメージセンサー
続いてカメラを確認すると、背面のメインカメラは約4800万画素/F値1.9の広角カメラと、約1200万画素/F値2.2の超広角カメラ、そして約1200万画素/F値2.3~2.8で倍率が可変する望遠カメラの3眼構成。ZEISS T*(ティースター)コーティングが施されている点は過去機種と共通している。
中でも大きく変わったのは広角カメラだ。広角カメラに採用されているイメージセンサーはソニーの新しい「Exmor T for mobile」というもので、センサーサイズ自体もXperia IVの1/1.7型から、1.35型にサイズアップしているのだが、それに加えて「2層トランジスタ画素積層型」であることが大きな特徴となっている。
これは従来、イメージセンサーの1つの画素に並んで備わっていたフォトダイオードとトランジスタを分離して積み重ねる構造にしたもの。それによって双方の容積を増やすことができ、画素が受ける光の量を倍増させられることから暗い場所での撮影により強くなっているのだ。
加えて広角カメラはXperia 1シリーズで初めて画素数が4800万画素となっており、複数の画素を組み合わせて1つにし、明るく撮影できるようにする「ピクセルビニング」も活用。加えてカメラアプリ「Photography Pro」の「BASIC」「AUTO」で撮影する時には画像の重ね合わせ処理が入ることから、暗い場所での撮影においても1インチセンサーに劣らない性能を発揮できるようになっている。
実際に暗い場所での撮影を試してみたのだが、特筆すべきはノイズの少なさ。スマートフォンのカメラで暗い場所を撮影するとどうしてもノイズが乗ってしまうが、Xperia 1 Vの広角カメラでは暗い場所でもノイズがほとんど見られず、非常に綺麗な写りとなっている。
一方でナイトモードを使っても、他社スマートフォンのように暗い所をものすごく明るく写し出す訳ではない。見た目通り暗い状態ながらも、写りの綺麗さに重点が置かれているというのは、写実的表現にこだわるソニーらしいポイントと言える。
またXperia 1 Vのカメラには、従来存在した被写体との距離を図る3D iToFセンサーがなくなっており、その代わりにAI技術によって被写体との距離を推定し、フォーカスを合わせる仕組みとなっている。3D iToFセンサーでは被写体が遠くや端にある、あるいは色が黒い場合などにフォーカスを合わせるのを苦手としていたが、それをAI処理に変えることで全体にフォーカスを合わせやすくなったようだ。

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