ポルシェで唯一乗ったことがなかったマカン
食わず嫌いはいけないと痛感させられる
そして今年4月に富士スピードウェイで開催された「モーターファンフェスタ2023」を取材しに行くときに、現地までの移動をどうしようかと考えていたときにポルシェジャパンに相談。最初は「911 Carrera GTS(7MT)」を提案されたが、せっかくなのでラクに速く移動できるクルマにしようと思い、マカンをチョイスさせてもらったのだった。もちろん、911 Carrera GTSは今後レビューする予定だ。
マカンについて説明すると、アウディのQ5と共通部分が多い兄弟車のような存在で、ラインナップは無印のマカン、マカン T、マカン S、最上位のマカン GTSの4モデル。全モデル7速PDKで4WDだ。今回借りたのはマカン GTSで、スペックは2.9リッターのV型6気筒ツインターボ、7速PDK、最高出力324kW(440PS)/5700~6600rpm、最大トルク550Nm/1900~5600rpm。最高速度は272km/hで、0-100km/hの加速は4.5秒。車体サイズは全長4726×全幅1927×全高1596mm、ホイールベース2807mm、車重は1960kgという数字。
カイエンの標準モデルが全長4930×全幅1983×全高1698mm、ホイールベースが2895mm、車重は2055kgなので、一回り小さいことがわかるだろう。
お値段はマカンが791万円、マカン Tが854万円、マカン Sが1013万円、マカン GTSが1235万円。今回の試乗車であるGTSはここにオプション328万2000円が乗っかり、1563万2000円というプライスだった。ちなみに、現在のポルシェのラインナップの中では、実はマカンが一番安い。これまでエントリーモデルといえばボクスター(現・718ボクスター)だったが、一番下のグレードで879万円、718ケイマンでも840万円となかなかにプレミアムなお値段になっている。しかも、どちらの最上位モデルも2000万円を超えるから驚きだ。
マカン GTSはポルシェの高性能グレードである「GTS」を冠しているだけあって、パワーもトルクもかなりアップしている。無印マカンと比べると最大出力が195kW(265PS)、最大トルク400Nmなので、数字だけでもその違いがわかる。
実際に走らせてみると、微妙に走り出しが重たい。もうちょっと鋭く加速してほしいところだが、SUVだしこんなものかなと思っていたのだが、回転数が上がるとあっという間に法定速度に達してしまった。さらにスポーツモードかスポーツ+モードにすると911かと思うくらいの走り出しを実現してくれる。今回は高速道路がメインの試乗コースだったが、調子に乗ってスポーツモードで走っていたらあっという間にガソリンが減ってしまった。標準モードはエコドライブ的なチューニングになっているので、のんびり燃費走行をするならモードを変更する必要はない。
ちなみに、スポーツ+にすると約10mm車高がさがり、サスペンションが硬くなり、エキゾーストは高くなる。運動性能があがり「これぞポルシェ」という走りを体験させてくれる。さらにこの試乗車には「20秒間全開スイッチ」こと「ポルシェ・スポーツレスポンスボタン」が装備されているので、フルブーストのとんでもない加速を楽しめる。スポーツ走行向けのクルマではないのに、こういうオプションを用意しているところが、いかにもポルシェだ。
標準モードだと足周りはしなやか。筆者の近所はトラックが多いので道路が轍だらけなのだが、上品にいなしてくれる(もちろん突き上げはある程度あるが)。高速道路では細かい段差はあまり気にならなかった。もちろんスポーツモードにすると足周りはカチっとなり、左右のカーブでのロールも少なくなる。筆者は足が硬いほうが好みなので、こちらのほうがいいのだが、家族や友達を乗せて遠出するなら標準モードがベストだろう。走行モードは走っている最中にモード切替スイッチで切替可能なので、ステージに合わせてフレキシブルに変更しながら走れる。とはいえ、突然スポーツ+にすると大幅に特性が変わるので危険だが。
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