第19回 Veeamが解き放つ“データの力”

「Veeam Backup for Microsoft 365」が選ばれる理由は“柔軟さ”、ウェビナーでその強みを知る

「Microsoft 365」のバックアップが必要な「7つの理由」とは

大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 マイクロソフトが提供するオフィススイートSaaS「Microsoft 365」(以下「M365」と略記)を利用する企業は多いが、利用拡大に伴って課題となっているのが「データのバックアップ」だ。M365に保存された重要なオフィスドキュメントやメッセージのやり取りが、ある日突然消えてしまったら――その業務影響は非常に大きい。

 M365のデータ保護製品として高いシェアを誇るのが、ヴィーム・ソフトウェア(Veeam Software)の「Veeam Backup for Microsoft 365」である(以下「VB365」と略記)。今回は、Veeamが開催した「技術面の徹底解説:No.1 Microsoft 365バックアップ」ウェビナーから、M365のデータ保護が必要な理由、VB365が備える特徴的機能や具体的なバックアップシステムの構成などを見ていこう。

 同ウェビナーの講師はVeeam Software インサイド・システムズ・エンジニアの上村弘之氏が担当した。

「Veeam Backup for Microsoft 365」は、Microsoft 365のデータ保護に特化したバックアップ/リストア製品

なぜMicrosoft 365のバックアップが必要か? 7つの理由

 上村氏はまず「お客様とお話していると、よく『M365でもバックアップが必要なんですか?』という質問をいただきます」と切り出した。M365上のコンテンツデータ(ドキュメントファイルやメッセージなど)はユーザー企業側で管理する責任を負うが、なぜM365データのバックアップが必要なのか。上村氏は次の「7つの理由」を挙げる。

(1)意図せぬ削除:ユーザーが重要データを誤って削除してしまうリスクへの対応
(2)保持ポリシーの混乱/ギャップ:会社として定めた保持ポリシーを順守せず、ユーザーが勝手に削除してしまうリスクへの対応
(3)内部のセキュリティ脅威:悪意のある内部者、離職する従業員が会社にダメージを与える行動を起こすリスクへの対応
(4)外部のセキュリティ脅威:ランサムウェアや悪質なアプリによってコンテンツデータが破壊/消去されるリスクへの対応
(5)法的要件とコンプライアンス要件:業界ごとに順守すべきデータ保存要件があることへの対応
(6)ハイブリッド環境と移行の管理:オンプレミスからクラウドへの移行に際してバックアップデータが使える
(7)Teamsデータの構造:Teams上のコンテンツがExchange、SharePointなどに分散保存されていることへの対応

M365のバックアップが必要な「7つの理由」

 VeeamのVB365は、こうしたM365のバックアップニーズに対応した製品だ。M365で提供されるExchange Online、SharePoint Online、OneDrive for Business、Microsoft Teamsのコンテンツを簡単にバックアップし、柔軟なかたちでリストアすることができる。法的/コンプライアンス要件としてしばしば求められるeDiscoveryに対応できる、包括的な検索機能を備えることも特徴だ。

 ちなみにVB365は、M365だけでなく、オンプレミス環境に導入したExhange/SharePointサーバーのデータバックアップにも対応している。このため、オンプレミス環境からクラウド(M365)への移行ツールとしても活用できる。

柔軟に構成できるのがVeeam Backup for M365の強み

 VB365は、大きく3つのコンポーネントにより構成される。バックアップジョブの設定/制御などの中心的な役割を果たす「バックアップサーバー」、バックアップデータの読み書き処理を実行する「バックアッププロキシ」、バックアップデータの保存場所となる「バックアップリポジトリ」の3つだ。

VB365は大きく3つのコンポーネントで構成される

 これらのコンポーネントは、単一のサーバーにすべてインストールする(シンプルデプロイメント)ことも、個別のサーバーに分散してインストールする(アドバンスドデプロイメント)こともできるようになっている。バックアップ対象のユーザー数やオブジェクト数が非常に多い場合や、バックアップデータの容量が非常に大きい場合には、バックアッププロキシやバックアップリポジトリのサーバー台数を増やして柔軟にスケールアウトできる仕組みだ。

 上村氏は、VB365のインフラ構成について「プロキシサーバー1台あたり最大5000ユーザーまで」という数字を目安にするのがよいと説明する。それ以上のユーザー規模であればプロキシサーバーを分散(スケールアウト)させるべきだが、VB365のバックアップサーバー1台で最大50台のプロキシサーバーを制御できるため、最大25万ユーザー程度までは一括して管理することが可能だ。

 ただし、上述の数字はあくまでも目安であり、実際にはバックアップ対象とするオブジェクトの数によってインフラ構成を検討するべきである。Veeamではオンラインカリキュレーター(https://calculator.veeam.com/vb365)を提供しているので、こちらも活用してほしいと上村氏は紹介した。

VB365の推奨設定最大値(CPU8コア、メモリ32GBのサーバーの場合)と、VB365がサポートするM365の各種オブジェクト

 なおVB365は、自社内にサーバーをオンプレミス導入するだけでなく、パブリッククラウドに導入したり(Azure、AWSではマーケットプレイスからも導入が可能)、パートナーが提供するサービス(SaaS)として利用したりすることもできる。上村氏はパートナーによるSaaSの一例として、KDDIが提供する「KDDI クラウドプラットフォームサービス」のバックアップオプションとして、VB365が提供されていることを紹介した。

 バックアップ先のストレージも多様なオプションをサポートしている。オブジェクトストレージをはじめ、バックアップリポジトリサーバーの内蔵ドライブ(DAS)、外付けストレージ(SAN)、さらにWindows共有(SMB 3.0)経由のファイルサーバーにもバックアップが保存できる(ただしSMBは現在試験的サポートであり、将来的にサポート対象外になる可能性もある)。

 ちなみにVB365 v6以降のバージョンでは、新たにバックアップコピー(バックアップデータのコピー)の自動作成にも対応している。オブジェクトストレージ(クラウド、オンプレミス)にあるバックアップデータを、より安価なアーカイブストレージ(「Amazon S3 Glacier/Glacier Deep Archive」と「Azure Archive Storage」)にコピーして保存することで、コンプライアンス要件に対応しながら長期保存にかかるストレージコストを低減させることができる。

 また、3月から提供開始した最新版のVB365 v7では、イミュータブル(書き換え不可能)なバックアップコピーを保存できるようになっている。これはランサムウェア対策として有効な機能だ。

VB365 v6からはバックアップコピーの自動作成もできるようになった

ウィザードで簡単にジョブを設定、リストアは柔軟にできる

 VB365は、Webベースの管理コンソールから、ウィザードを使って簡単にバックアップジョブが作成できるようになっている。バックアップジョブに名前を付け、バックアップ対象のオブジェクトを選択し、使用するバックアッププロキシ/リポジトリを指定し、スケジュールを設定する――という6ステップの操作だけだ。

VB365のバックアップジョブ作成はシンプルだ

 ちなみにバックアップ対象の指定においては、対象範囲として組織全体だけでなく、特定のチーム(部署)やユーザー、サイト、M365上のグループなどを選択することができる。特定の対象を除外(非対象に)することも可能だ。バックアップスケジュールについては、毎日決まった時刻に実行する設定だけでなく、指定の時間ごとに定期実行させる設定も可能だ。ジョブ実行ウィンドウの許容時間/拒否時間を設定することもできる。

 VB365 v6で追加されたバックアップコピーのジョブ作成は、バックアップジョブのオプションとして追加することができる。こちらも、バックアップジョブの完了直後にコピーを作成するだけでなく、毎日決まった時間にコピーを作成させたり、一定時間ごとにコピーを作成させたりするジョブ設定が可能だ。

 バックアップ保存された多数のコンテンツから特定のものをリストアしたい場合に備えて、VB365では各アプリケーションに対応した検索ツール「Veeam Explorer」を提供している。このツールでコンテンツを検索すれば、必要なコンテンツだけを短時間でリストアできる。また、この検索ツールを使ってeDiscoveryの要件もカバーする。

 なおVB365では、合計で45種類のリストア方法を用意している。これにより、たとえばSharePointコンテンツのリストアだけでも「元あった場所にリストア」「別の場所にリストア」「ファイルとして保存」など、柔軟にリストア方法が選べる。また、一度に多数のユーザーコンテンツを一括リストアするような処理も可能だ。

検索ツール「Veeam Explorer」を使って、必要なコンテンツに絞り込んでリストアを実行できる

 もうひとつ、VB365 v6で新たに登場したセルフサービスポータルからもリストアができる。こちらはWebブラウザからアクセス/操作するもので、社内のエンドユーザーが自分のデータをリストアすることが可能だ。また、一部のユーザーにリストアオペレーター(リストア作業の代行者)権限を与えると、ほかのユーザーのコンテンツも含めてリストアができる。たとえば各部門にリストアオペレーターを配置すれば、IT部門が多数のユーザーからのリストア要請に対応する手間が省ける。

VBR v6では新たにセルフサービスポータルを追加。エンドユーザー自身でリストア作業ができるようになっている

* * *

 VB365の製品特徴のまとめとして、上村氏は「自由に選択できるインフラ」「柔軟なバックアップ制御」「リストアの柔軟性」「スケーラブルなリストア」の4点を挙げた。VB365であれば、導入もバックアップ/リストアも柔軟にできて、管理も簡単にできる。

VB365の特徴まとめ

 「他社のM365バックアップ製品を見ると、そのベンダーのクラウドインフラしか使えないなどの制限があったりもしますが、Veeamの場合は柔軟に選択できます。またVB365は、バックアップ時にはライセンスが必要だがリストアにはライセンスが不要なので、長期的にも安心して利用いただけます。30日間無償の評価版も提供しているので、まずは試してみていただければ」(上村氏)

(提供:ヴィーム・ソフトウェア)

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