高度IT人材の採用と育成に力を入れる
一方、キヤノンMJでは、「利益を伴ったITS事業の拡大」、「既存事業のさらなる収益性強化」、「専門領域の強化・新たな事業の創出」、「持続的成長に向けたグループ経営」の4点を、中期経営計画の基本方針に掲げている。そのなかで、「持続的成長に向けたグループ経営」のなかに、今回新たに「人的資本の価値最大化」を追加した。
足立社長は、「ITソリューション事業においては、ITスキルの底上げが重要になることから、高度IT人材を強化、拡充していく。社会やお客様の課題を、ICTと人の力で解決するプロフェッショナルな企業グループを目指し、事業戦略の実行、推進を加速する」と語る。
具体的には、2023年度から、高度IT人材の採用増加や教育費の拡大、従業員の特別昇給などを実施。人的資本への投資に力を注ぐ姿勢をみせる。
スキル向上では、すでに、2021年からはITパスポート受験を開始し、これまでに約5000人が取得。2022年にはデータリテラシー教育を実施し、約4000人が受講した実績を持つ。2023年は、DX/DXビジネス検定の取得を、グループ全体で推進し、スキルの底上げを図ることになる。
「まずは専門性の向上を目指す。全社横断の基礎教育に加えて、部門ごとの専門教育や職種別選抜研修、外部からの人材登用も実施する」と語る。
「キヤノン製品事業に、ITソリューション事業を組み合わせることで、解決できる領域を広げ、安心安全な社会の実現、中小企業の生産性向上による地域活性化などに貢献し、サステナビリティ経営を推進していく」と足立社長。2022年度の業績からもわかるように、中期経営計画の達成に向けて、力強い一歩を踏み出したのは確かである。
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