このページの本文へ

SIerパートナー、海外キャリアとの協業も強化、「サステナブルで2ケタ成長を目指す」戦略を説明

Colt、西日本へのネットワーク提供エリア拡大計画を明らかに

2023年02月20日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 法人向けネットワークサービスなどを展開するColtテクノロジーサービスは2023年2月15日、国内市場に関する事業戦略説明会を開催した。クラウド接続のための法人ネットワーク需要が増大していることを背景として、2024年中をめどに西日本(広島、岡山、福岡)へのネットワーク拡大を図る計画を披露した。さらに新たな営業モデルの導入、SIパートナーとの協業強化なども行い「サステナブルな2ケタ成長」を目指すとしている。

西日本地域(広島、岡山、福岡)へのネットワーク拡大を2024年中に実現する計画

Coltテクノロジーサービス 代表取締役社長 兼 アジア代表の星野真人氏、同社 マネジング・ディレクター、アジア営業担当VPの大江克哉氏

「どこでも、いつでも、どのようにでも」高品質なネットワークを提供

 Coltテクノロジーサービス(旧社名:KVH)は、英国に本社を置くColtグループのAPAC部門として、法人向けのデジタルインフラソリューションを提供する通信事業者。ネットワーク、音声、データセンターの各ソリューションを展開しており、金融やサービスをはじめとする幅広い業界で2700社以上の顧客を持つ。

Coltが提供する主要なデジタルインフラソリューションの全体像(緑色部分がColtのサービス)

 同社 代表取締役社長でアジア代表を兼務する星野真人氏は、Coltの特徴について「世界52都市に、自社で構築したメトロネットワークを保有していること」だと説明する。このネットワークは、日本を含むアジア圏だけですでに2400棟以上のビル、100棟以上のデータセンターに接続されている(グローバルではビル3万1000棟以上、データセンター900棟以上)。

 Coltでは今年、「どこでも、いつでも、どのようにでも、高品質なサービスを提供する」という新たなミッションステートメントをグローバルで掲げている。自社ファイバー網/接続ポイントの持続的な増設によるカバレッジエリアの拡大と同時に、SDN技術の適用によるオンデマンド型のネットワークサービスを増強していく。さらに、帯域幅の増減など顧客ニーズをフレキシブルに満たせるオプションサービス、ポータル、アプリケーションも提供する方針を示すものだ。

Coltがグローバルで掲げる新たなミッションステートメント

 Coltが新たなミッションを掲げる背景には、企業におけるDXのトレンド、そしてクラウド利用の浸透に伴って、法人ネットワークの変革、すなわち「ネットワークトランスフォーメーション」が求められていることがある。星野氏は、グローバル/日本のSD-WAN市場が急成長していること、Colt自身のクラウド/インターネットアクセスも急速に伸びていることをデータで示した。

 「DX、クラウド化の動きでは特に『柔軟なネットワークインフラ』が必要とされている。どういうマーケットの動きがあっても、それに柔軟に追従できるネットワークインフラが求められている」「コストを抑えつつ柔軟なネットワークを実現するものとして、多くの企業がSD-WANを検討しており、グローバルでも日本でもSD-WAN市場の成長率は高い」(星野氏)

インターネットトラフィック、SD-WAN市場の伸び(左)。Coltがネットワークを提供する企業においてもインターネットアクセストラフィックは急増しており、そのアクセス先の大半(約70%)はクラウドだ(右)

オンデマンド/従量課金型サービス、SD-WANなどポートフォリオを拡充

 こうした変化に対応して、Coltでもサービスポートフォリオ拡大に向けた投資を行ってきた。これまでの専用線や広域Ethernetのサービスに加えて、すでに主要クラウドサービスと閉域網で接続する「Coltクラウド接続サービス」、帯域幅をオンデマンドで拡大/縮小しネットワークコストを最適化できる「Colt On Demand」、そしてSDN技術により柔軟なネットワークインフラを実現する「Colt SD-WAN」などをラインアップしている。

 「クラウド接続サービスのアクセスポイントは、現在グローバルで250拠点以上あり、700社以上のお客様が使っている。SD-WANはローンチから2年ほどで、200社以上が利用している。ちなみに、SD-WANの開発にはこれまで(2016年以降で)20億円を超える投資を行っており、さらに毎年9%、10%と投資額を増やしている。特にSD-WANは、日々進化するソフトウェアの技術なので、投資を増やしていかなければ(市場の動きに)ついていけないと認識している」(星野氏)

専用線/広域Ethernetだけでなく、オンデマンドやSD-WANといった新たなサービスポートフォリオの拡大を図っている

 こうしたサービスの提供基盤となる自社ネットワークのカバレッジ拡大も図っていく。具体的には従来の東京、大阪、名古屋、京都、神戸に加えて、2024年中に広島、岡山、福岡へのネットワーク拡張を実現する計画だ。

 「(将来的には)全国への展開を目指しているが、まずは西日本への拡張を来年中に終わらせたい。なぜ西日本かというと、もちろんわれわれのお客様からの要望でもあるが、データの集積地となるハイパースケーラーのデータセンター計画があり、またアジア方面の海底ケーブルの陸揚げ地でもあるためだ」(星野氏)

Coltのビジネス戦略のまとめ。「どこでも/いつでも/どのようにでも」の実現に向けて投資とサービス拡張を継続していく

SIパートナー、海外キャリアパートナーの専任営業チームを組成、強化

 Coltのマネジング・ディレクター、アジア営業担当VPの大江克哉氏は、日本を含むアジア圏での成長戦略として、上述した「提供エリア拡大とサービス強化」のほかに「システムインテグレーター(SIer)との協業強化」「ハイブリッド型営業モデルの導入」を加えた“3つの柱”を挙げた。この3領域のそれぞれに対応するために、エンタープライズ顧客向け、海外通信キャリアパートナー向け、SIパートナー向けの各営業本部を構える。

 「この3つの柱で大きく、短期ではなく長期的に、サステナブルな2ケタ成長を実現していきたいと思っている」(大江氏)

長期的な成長に向けた“3つの柱”と、それに対応した新たな営業体制

 大江氏は特に、SIパートナーへの取り組み強化について詳しく説明した。日本ではSIerへの企業依存度が高く、またサプライヤーの選定においてもSIerの関与が大きいためだ。また、Coltが今後注力していくSD-WANなどの“レイヤーの高い”ネットワークサービスの活用においては、ネットワークをクラウドやシステムとAPI連携させて制御するようなニーズも出てくるため、SIerとの協業強化は欠かせなくなる。そこで今年、SIパートナー向けの営業チャネル(パートナー営業本部)を立ち上げた。

 「今日現在、SIパートナー様経由のビジネスは全体の20%程度。ここから2ケタ成長を目指していきたい」(大江氏)

 またエンタープライズ向けの営業組織においては、「成長性」と「売上高」の2軸で顧客企業を分類し、担当するセールスチームを分けた。重要度の高い顧客は従来どおりフェイストゥフェイスのセールス活動を行うチームで、その他の顧客はテリトリーセールス/インサイドセールスのチームでカバーする仕組みだという。

新たなセールスアプローチ(右)に基づき、担当チームも2つに分けて営業活動を進める

 海外の通信キャリアパートナーとの取り組みでは、顧客向けサービスの「自動化とコストダウン、スピードアップがキーワード」だと語った。たとえばColtの顧客である日本企業が海外展開を進める際に、現地ではColt以外のキャリアからアクセスネットワークを調達し、利用することがある。そうした場合に、Coltの顧客向けポータルから海外キャリアの通信サービスをワンストップで利用できるよう、API連携による取り組みを進めているという。

 現在は米AT&Tを含む5社とのパートナーシップを通じて、API経由で最新情報や価格情報の共有、さらには見積もりや発注ができるという。今後さらに連携を強化して、パートナーキャリア側からColtのサービス(ネットワークやクラウド接続など)調達/接続の自動化、そしてColt顧客が直接オンデマンド型でパートナーネットワークを自由に調達/利用できるような仕組みを目指したいと話した。

 「グローバルのColtでも、4つのトッププライオリティの1つとして『サステナブルな長期的成長』を掲げている。それをアジアがリードしていく、というのがわれわれのミッションだと考えている」(大江氏)

カテゴリートップへ

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

アクセスランキング

  1. 1位

    TECH

    訓練だとわかっていても「緊張で脇汗をかいた」 LINEヤフー、初のランサムウェア訓練からの学び

  2. 2位

    ビジネス・開発

    最悪のシナリオは「フィジカルAI」による基幹産業の衰退 日本の勝ち筋は、“同期技術”と“ドメイン知識”

  3. 3位

    ITトピック

    若手が言わない“本音の退職理由”上位は/「データ停止は景気後退よりも企業の脅威」6割/クライアントに告げずAI活用するフリーランス、ほか

  4. 4位

    Team Leaders

    ファイル名が命名規則に合っているかの自動チェック、Power Automateのフローで実現しよう

  5. 5位

    TECH

    “GPUなし”ノートPCで動くLLMで、ローカルAIエージェントを自作する

  6. 6位

    TECH

    糖尿病超早期を採血なしで検出、予防へ! 代謝や臓器のつながりに着目した予防法開発

  7. 7位

    ビジネス

    廃校がAIの心臓部に!? 地方の遊休施設を「AIデータセンター」に生まれ変わらせるハイレゾの挑戦がアツいぞ

  8. 8位

    TECH

    業界横断で“サイバー攻撃から供給網を死守” NTT・アサヒ・トライアルらが「流通ISAC」始動

  9. 9位

    Team Leaders

    バックオフィス業務もAIに“丸投げ” マネーフォワードが「Cowork」機能を2026年7月に投入へ

  10. 10位

    sponsored

    AI議事録はもう「Zoom」1つでいい “やりっぱなしの会議”を次のアクションへ変える

集計期間:
2026年04月07日~2026年04月13日
  • 角川アスキー総合研究所