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複数のブロックチェーンをつなぐ試み、Milkomeda財団Sebastien Guillemot氏に聞く

2022年10月10日 21時30分更新

文● ASCII

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ブロックチェーンのスケーラビリティ問題とレイヤー2の関係

 ブロックチェーン技術には“スケーラビリティ”“分散性”“セキュリティ”という大きな特徴があるが、これらの関係性にはトレードオフがあり、すべてを満たすことが難しいという側面がある。特に課題になっているのはスケーラビリティで、その解決のために“レイヤー2”と呼ばれる仕組みが用いられることがある。ビットコインのライトニングネットワークやイーサリアムのアービトラムなどだ。

 基盤となるブロックチェーン(レイヤー1)との互換性は確保しつつ、オフチェーンの処理や別のブロックチェーンの処理を併用し、増大化する負荷に対応していくアプローチだ。計算処理を分散し、取引結果のみを基盤となるブロックチェーンに書き込むことで、負荷の分散ができる。ブロックチェーンの混雑緩和のため、トランザクション処理の一部をオフチェーンで処理する技術をロールアップという。

 現在、DAppsと呼ばれる分散型アプリの大半は、イーサリアムチェーン上で作成されている。しかし、イーサリアムチェーン上で特定のアプリによる処理が集中した際、別のアプリの処理に支障が出てしまうという課題も持つ。こうした取引を同時に実行し、滞りなく進める仕組みが求められているのだ。

イーサリアム以外のレイヤー1型ブロックチェーン

 一方、レイヤー1型のブロックチェーンはイーサリアム以外にもある。アプリ開発者の視点に立つと、目的を満たせるのであれば特定のブロックチェーン基盤に依存する必要はないという考え方もできる。それぞれにメリットデメリットを持つが、元Metaの開発者が手掛けている“Aptos”、処理速度の速い“Solana”、分散型を保ちつつ同時実行も目指す“Cardano”といった選択肢が増えている。また、それぞれに熱心なユーザーがいる。

 ただし、ここには課題もある。対象とするブロックチェーン基盤が変われば、アプリの実装も変わり、開発やポーティングが容易ではないというものだ。欲しい機能があったとしても、それぞれのコミュニティに働きかけて追加を呼びかけるのも困難で時間がかかる。

 このような状況で活躍するのが、EVM(Ethereum Virtual Machine)だ。

 イーサリアム用に作ったアプリであれば、EVMと互換性を持つ別のシステムへのコンバートは比較的容易である。そこで出てきたのが、いろいろなレイヤー1型のブロックチェーンに対応できるレイヤー2型のサービスを開発するという考え方だ。

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