顧客は1000社、年間の請求金額は56兆円に成長
――サブスク管理分野におけるZuoraの特徴や差別化について教えてください。
ツォ氏:Zuoraは請求(「Zuora Billing」)でよく知られているが、さまざまな機能を備えている。現在われわれは、請求に加え、収益認識(「Zuora Revenue」)、回収(「Zuora Collect」)を備える統合プラットフォーム「Zuora Central Platform」を構築している。これを利用して、サブスク顧客の状況を把握できる。これらの機能全てをスイートとして提供できるのはZuoraのみだと自負している。
これに加えて、この分野を牽引してきた専門知識もある。顧客数は1000社以上、年間の請求処理金額は56兆円に達しており、アナリストからリーダーの評価を受けている。
3月にプライベートエクイティのSilver Lakeより4億ドルの投資を受けることを発表した。用途については話せないが、今後新しい機能の追加や買収の可能性もある。
――長期的にはサブスクよりも購入した方が安いということもあります。サブスク人気が落ち着き、これまでの買取り形への揺り戻しがあることは考えられるのでしょうか?
ツォ氏:その考え方は、製品をレンタルしていると言う場合にはありうる。だが、サブスクはレンタルではない。サブスクはサービスであり、単に製品をレンタルする以上のものを顧客は享受している。Uberを使うことで、車をリースするのでは得られない柔軟性、経済的なバリューを得ているはずだ。
逆に返せば、サブスク事業では成果が大切になる。そのため、Zuoraでは顧客に、自社の顧客がどのような体験をしているのかを考えてもらっている。
先程のiRobotの例では、iRobot側はロボット掃除機を提供していると考えているが、顧客が望んでいることは家に帰った時に掃除がされていること。自社顧客の期待と一致しているのかは重要な視点だ。
日本市場では自動車メーカーがサブスクに高い関心
――日本市場の状況について教えてください。
桑野氏:7年前にオフィスをオープンし、Freee、SmartHRなどのテクノロジー企業を中心に顧客が広がり、毎日新聞、ダイヤモンドなどメディア、公共公益、通信、金融、小売などの業界にも利用してもらっている。
ここ1~2年で増えているのは製造で、特に自動車メーカーは業界の変革期にあり、サブスクに高い関心を寄せている。
共通しているのは、危機感が強い企業。複合機メーカーはコロナの前からペーパーレス化が進んでおり需要がなくなってきている。複合機そのものもコモディティ化しており、売れてもあまり利益が出ないと言う状況にある。リコーの例では、オフィス周りのドキュメント管理などでニーズがあるとわかり、ソリューションサービスを提供している。Zuoraの仕組みを使って、グローバルで収益化している。
サブスクを正しく理解していない日本企業もまだまだいる。単なる月額課金モデルと思っている企業も多いが、サブスクとは価値を収益化するモデル。提供する成果は何か考えて進める必要があり、Zuoraがお手伝いできると感じている。
ツォ氏:IoTと製造業により、日本企業には大きなチャンスがある。デジタルサービスを大きな収益源にできるというチャンスだ。そのためには、日本企業はトランスフォームしなければならない。リーダーシップがトランスフォーメーションを加速しなければならないと感じる。