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日本人の最深潜航記録が60年ぶりに更新、9801メートルに到達

2022年08月31日 06時43分更新

文● MIT Technology Review Japan

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名古屋大学や東京海洋大学などの共同研究チームは、日本周辺の超深海(ヘイダル)海溝域の調査を実施し、8月13日に小笠原海溝の最深部9801メートルに潜航。東京水産大学が持つ日本人の最深潜航記録を60年ぶりに更新した。

名古屋大学や東京海洋大学などの共同研究チームは、日本周辺の超深海(ヘイダル)海溝域の調査を実施し、8月13日に小笠原海溝の最深部9801メートルに潜航。東京水産大学が持つ日本人の最深潜航記録を60年ぶりに更新した。 今回の調査は、民間調査会社カラダン・オセアニック(Caladan Oceanic)が建造した2人乗りフルデプス有人潜水船「リミッティングファクター(Limiting Factor)号」による海溝最深部調査の一環として実施されたもの。調査は日本周辺の超深海海溝における地質と地形および生物の観察を目的としており、今回は小笠原海溝最深部と西側陸側斜面の地形地質と、マントルを構成するカンラン岩などの岩石、および生物の観察をした。 名古屋大学の道林克禎教授は、8月13日午前8時に母船からパイロットと共にリミッテイングファクター号に乗船し、午前11時51分に水深9801メートルの泥に覆われた海底に到着。深海底の様子を観察しながら午後2時23分に海底を離れて午後5時20分に海面に浮上し、午後5時40分に下船した。 6000メートル以深の海は、超深海と呼ばれ、その多くが西大西洋の海溝に広がっている。しかし、超深海の調査はこれまであまり進んでいない。今回の潜航によって道林教授は、1962年に東京水産大学の佐々木忠義教授がフランスの有人潜水船「アルシメード号(アルキメデス号)」に乗船し、千島・カムチャッカ海溝の最深部である水深9545メートルにまで潜航した日本人最深記録を更新した。

(中條)

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