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エンジン無しで軌道制御、名大が超小型衛星を10月に打ち上げ

2022年08月30日 06時34分更新

文● MIT Technology Review Japan

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名古屋大学の研究チームは、エンジンも燃料も使わずに軌道を制御する超小型衛星「MAGNARO(マグナロ)」を開発した。宇宙航空研究開発機構(JAXA)の革新的衛星技術実証3号機の実証テーマの一つとして、2022年10月7日に鹿児島県の内之浦宇宙空間観測所からイプシロンロケット6号機で打ち上げる。

名古屋大学の研究チームは、エンジンも燃料も使わずに軌道を制御する超小型衛星「MAGNARO(マグナロ)」を開発した。宇宙航空研究開発機構(JAXA)の革新的衛星技術実証3号機の実証テーマの一つとして、2022年10月7日に鹿児島県の内之浦宇宙空間観測所からイプシロンロケット6号機で打ち上げる。 マグナロは、「MAGNARO - Tigris(チグリス)」と「MAGNARO - Piscis(ピスシス)」の2基の超小型衛星で構成し、両者は打ち上げ時には磁力で接続されている。地球周回軌道に投入されたマグナロは、搭載された電磁コイルを地球磁場と作用させることでトルクを発生させて姿勢を制御し、自律的に姿勢と軌道を決定。その後、チグリスとピスシスを分離させて編隊を形成し、姿勢制御によって衛星の正面面積を変えることで、空気分子と衛星との作用で発生する空気抗力を調整して編隊を維持する。 複数の衛星を連携させて1つのミッションを実行する、編隊飛行による宇宙利用が増加している。編隊飛行では、軌道制御による複数の衛星間の相対位置の調整が必要となるが、電力・質量・スペースに強い制約がある小型衛星ではエンジンや燃料を搭載するのが難しい。研究チームはこれまで、宇宙環境を利用して衛星の編隊を形成・維持するという発想のもとで研究を進めており、今回の打ち上げでこれまでの成果を技術実証する。

(中條)

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