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ニューラルネットの時系列予測性能を向上させる新手法=東大など

2022年08月03日 06時53分更新

文● MIT Technology Review Japan

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東京大学と豊田中央研究所の共同研究チームは、ニューラルネットワークの一種であるリザバーコンピューティング・モデルに用いるニューロン群に、意図的に特性ばらつきを与えることで、マルチスケール・システムに関する時系列予測性能を向上させることに成功した。神経系や大気・海洋系といった、異なる時間的・空間的スケールを持つ複数の部分系が相互作用するマルチスケール・システムを対象とした機械学習ベースの予測手法ではこれまで、異なる時間スケールに同時に対応することが困難だった。

東京大学と豊田中央研究所の共同研究チームは、ニューラルネットワークの一種であるリザバーコンピューティング・モデルに用いるニューロン群に、意図的に特性ばらつきを与えることで、マルチスケール・システムに関する時系列予測性能を向上させることに成功した。神経系や大気・海洋系といった、異なる時間的・空間的スケールを持つ複数の部分系が相互作用するマルチスケール・システムを対象とした機械学習ベースの予測手法ではこれまで、異なる時間スケールに同時に対応することが困難だった。 研究チームはまず、ニューロン群に意図的に特性ばらつきを与え、ニューロン群の不均一性を高めることでモデルの時間スケール分布の範囲が広がることをモデル解析で明らかにした。次に、速い部分系と遅い部分系から成る4つのマルチスケールシステムから人工的に時系列データを生成し、提案モデルを用いて予測タスクを実行。速い部分系のみから全体系を予測するタスクにおいて、提案モデルが従来モデルに比べて予測精度を改善できることを数値実験で示した。さらに、長期予測タスクでは、提案モデルは従来モデルよりも長期期間の予測が可能であることを示した。 今後、脳神経信号や気候変動予測といったマルチスケール・システムの実データを用いて、提案手法の有効性をさらに検証していくとともに、気候変動解析への応用を検討していく予定だという。研究成果は、2022年7月28日付けで米国物理学会の学会誌、フィジカル・レビュー・リサーチ(Physical Review Research)のオンライン版に掲載された

(中條)

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