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プラズマ利用で植物免疫を活性化、環境負荷の少ない病害防除技術

2022年08月02日 05時56分更新

文● MIT Technology Review Japan

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東北大学の研究チームは、プラズマ技術を利用して、空気を材料として高濃度の五酸化窒素(N2O5)ガスを生成できる装置を開発。同ガスを植物に処理することで、灰色かび病菌やキュウリモザイク・ウイルスの感染が抑制されることを示した。

東北大学の研究チームは、プラズマ技術を利用して、空気を材料として高濃度の五酸化窒素(N2O5)ガスを生成できる装置を開発。同ガスを植物に処理することで、灰色かび病菌やキュウリモザイク・ウイルスの感染が抑制されることを示した。 研究チームは、同装置を用いて空気から生成した五酸化窒素ガスの植物免疫における機能を解析。その結果、同ガスを植物(シロイヌナズナ)に処理することで、植物免疫のうちジャスモン酸とエチレンを介したシグナル伝達経路が活性化され、灰色かび病菌やキュウリモザイクウイルスの感染・増殖が抑制されることを明らかにした。五酸化窒素は水に溶けると、植物の肥料成分となる硝酸に速やかに変化するため、環境負荷の少ない次世代の植物病害技術となることが期待されるという。 活性窒素種は植物免疫をはじめ、さまざまな生理現象に重要な機能をもつ反応性の高い物質である。五酸化窒素は活性窒素種の一つであるが、従来は合成および保管に技術的課題があり、生物に対する生理作用はほとんど知られていなかった。今回の研究成果は、米科学誌プロスワン(PLoS ONE)に、2022年6月24日付けで掲載された

(中條)

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