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太陽光の発電効率を3割向上、京大が半導体接合の新手法

2022年07月11日 05時28分更新

文● MIT Technology Review Japan

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京都大学の研究チームは、多接合太陽電池で使われる半導体を、波長変換材料を挟んで接合する方法を新たに開発した。この技術を使って複層型の太陽電池を試作したところ、電流が2割程度、発電効率が3割程度増大したという。

京都大学の研究チームは、多接合太陽電池で使われる半導体を、波長変換材料を挟んで接合する方法を新たに開発した。この技術を使って複層型の太陽電池を試作したところ、電流が2割程度、発電効率が3割程度増大したという。 研究チームは、受けた光をより波長の短い光に変換する「上方変換材料」と呼ぶ材料に着目。この材料を挟んで複数枚の半導体を層状に接合することで、上層の半導体に吸収されなかった光成分を下層の半導体で回収して再利用できるようにした。 具体的には、上方変換ナノ粒子をハイドロジェル中に分散させた接着剤を作成。この接着剤で他接合太陽電池の上層セルを模したシリコン薄膜と、シリコン太陽電池のウェハーを接合させたものを試作した。上方変換材料がない場合に比べると、2割程度電流が増大し、3割程度発電効率が上がったという。 研究成果は7月6日、アプライド・フィジクス・レターズ(Applied Physics Letters)誌にオンライン掲載された。新手法によって太陽電池の高効率化だけでなく、光集積回路、光コンピューターにおける効率の高い信号処理も可能になるとしている。

(笹田)

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