このページの本文へ

音声解析AI電話「MiiTel」の技術が活きている

「MiiTel for Zoom」の3つの機能がもたらす、生産性の高い営業活動や顧客対応

2022年07月11日 15時00分更新

文● 大河原克行 編集●MOVIEW 清水

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 RevComm(レブコム)は、Zoomを利用したオンライン商談やオンライン会議の内容を文字起こししたり、会話の内容をAIで解析が可能なAI搭載オンライン商談解析ツール「MiiTel(ミーテル) for Zoom」の提供を開始した。Zoomの有料版で利用できる。

 RevComm 代表取締役の會田武史氏は、「オンライン商談の記録や共有にかかる工数を大幅に削減するとともに、セルフコーチングを促進でき、教育工数の削減も可能になる。売上げ向上や、コスト削減に貢献でき、企業の営業生産性向上に寄与する。オフラインを超えるオンラインコミュニケーションを実現し、企業活動の生産性向上を実現したい」と述べた。

 コロナ禍では、対面での営業が減少する一方で、オンライン商談が倍増するといった動きが出ているが、より効果的なオンライン商談を実現するためのツールとして注目されそうだ。

MiiTel for Zoomが提供する3つの機能

 MiiTel for Zoomでは、3つの機能を提供するという。

 ひとつめは自動文字起こし機能である。

 AIによる全文文字起こし機能により、商談や会議の内容をテキスト化。会議が終わるとZapier連携によって、文字起こしをしたテキストをGoogleドキュメントに書き出すことができる。「あー」や「えー」などのフィラー発話を自動的に取り除くため、読みやすい文として保存することができるのも特徴だ。

 RevCommの會田氏は、「文字起こしの精度は95%程度といえる。業界で専門的に利用される用語は、ユーザー辞書登録機能を利用することで、業界用語や商品名の文字起こし精度を向上できる」という。

RevComm 代表取締役の會田武史氏

AIによる文字起こし機能画面

 また、RevComm CPOの重城聡美氏は、「参加できなかった会議の中身を見たいが、全部を聞きなおす時間がないという場合や、議事録の作成に工数がかかるという場合にも、自動文字起こし機能で解決できる。また、『グッドプラクティス』などのタグを付ければ、プレイリストとして簡単に見返すことができたり、タイトル名や会社名、会話内容などからも検索して、簡単に読み返すこともできる」という。

 2つめは、独自のAIトーク分析である。

 相手の会話との被り回数や会話の沈黙回数、相互のトーク比率、言葉の抑揚や話す速度などを定量評価するほか、トピック判定機能ではトピックごとにどんな流れで会話が進行したのかといったことや、キーワードの出現箇所を抽出したり、タグをもとに重要な部分を録画で再確認したりといったことができる。また、Zoom以外で録画した映像も、MP4ファイルをアップロードするだけで、AIトーク分析機能や文字起こし機能が利用できる。

 「トピック判定やキーワード検出によって、会話の中身を効率的に知ることができたり、AIの定量評価やダッシュボードをもとに、俯瞰的に傾向を振り返ることができたりする。さらに、営業成績が高いハイパフォーマーが、どのようなトピックの流れで会話をしているのかといったこともわかり、これを『トークの型』として見える化し、共有することができるようになる」とした。

 商談成約時に肝となる単語を抽出し、その前後にフォーカスして再生をしたり、逆に失注などの要因になっていると思われる会話をピンポイントで再生するといったことも可能だ。

 さらに、録画を見た際に、気づいたことをコメントとして書き込むことができ、社内連携やフィードバックの効率化にもつながる。

RevComm CPOの重城聡美氏

 3つめは、Salesforceとの連携だ。

 Salesforceの商談データと、Zoomの動画データを紐づけ、自動的にオンライン会議データを蓄積することができるほか、文字起こし結果の蓄積も可能になる。個人の営業成果と、その成果に至った会話プロセスを連動することで、次の打ち手を検討することができるという。

 「商談データとの連携で、オンライン商談で失注した原因をより深く理解できたり、文字起こしデータや録画内容を見ることで理解しやすくなったりする。上司が担当者に具体的なアドバイスがしやすくなるというメリットもある」とした。

 Salesforce上のボタンから、Zoomのミーティングを作成するだけで、商談データと動画データの連携ができるという。

 MiiTel for Zoomの価格は、月40時間までの利用が可能なトライアルプランは月額1980円から、月100時間までの利用が可能なスタンダードプランは月額3980円からとなっている。また、法人を対象に最大2週間無料で試用できる仕組みも用意している。

 同社では、今後もMiiTel for Zoomの機能強化を進め、ダッシュボードの分析機能の拡張や、文字起こし結果からの検索のしやすさの向上、外部ツールとの連携の強化などを進めていくほか、Zoomの画像内に表示された資料の分析や、動画の分析の強化などにも取り組むという。

 MiiTel for Zoomは、2021年11月からβ版の提供を開始しており、すでに数10社が利用しているという。

音声解析AI電話「MiiTel」の技術がMiiTel for Zoomにも活きている

 マネーフォワードでは、商談後の振り返りや、セルフコーチングに活用しており、新たなメンバーのスキル習得期間の短縮化ができたという。また、ヘイでは、Zoom商談の状況を可視化し、うまくいった商談をモデルケース化。これを共有した結果、成約率が5%増加したほか、新人教育の効率化も実現しているという。

 レブコムでは、音声解析AI電話「MiiTel」を開発、販売してきたスタートアップ企業だ。2017年に創業し、社員数は159人。創業以来、海外在住者も含めて、フルリモート、フルフレックスの体制としている。

 2018年から提供を開始しているMiiTel は、AIにより電話営業や顧客対応を可視化するIP電話サービスであり、累計導入者数は1450社、3万6500人が利用。上場企業からスタートアップまで、幅広い業種で活用されている。ソフトバンクやKDDI、ゆうちょ銀行、ビズリーチ、パーソル、ベルシステム24のほか、東京都の保健所でも利用されているという。これまでの通話実績は1億1500万回に達している。

 「電話営業やコールセンターの課題は、顧客と担当者が、何を、どのように話をしているかがわからないという点であり、そのため、電話営業は、どこでパフォーマンスの差が出ているのかがわからないというブラックボックス化の課題があった。結果として、労働集約型で、属人的な仕組みが残り、数を打てば当たる営業となっている。MiiTelでは、AIによる解析、可視化をすることで、これらの課題を解決し、生産性の高い営業を実現している」(RevCommの會田氏)とする。

 今回発表したMiiTel for Zoomにも、MiiTelの技術が活用されている。

 「人と人の自然型コミュニケーションのコーパスをもとに、営業活動や顧客対応に特化した文字起こしエンジンを開発しており、大手企業の導入などで実績を持つMiiTelで培ったノウハウを、MiiTel for Zoomにも応用している。話し方解析にも注力しており、これをもとに成約率の向上などにも貢献できる。企業のP/Lにコミットできるツールである」とした。

 Zoomを展開するZVC JAPANの佐賀文宣社長は、「Zoomの技術を活用したMiiTel for Zoomにより、営業による顧客エンゲージメントを強化することができる。Zoomだけでは提供できない領域のソリューションであり、注目している。今回の連携によって、ビジネスをより促進できることに期待している」と述べた。

ZVC JAPAN 代表取締役社長の佐賀文宣氏

■関連サイト

カテゴリートップへ