とうとうでましたよ、OM-1。元オリンパスのOM-1。正式にはOMデジタルソリューションズのOM SYSTEM OM-1というのかな。ともあれオリンパスから映像部門が切り離されて、最初の大物カメラだ。
いろいろと新しくなったのだけど、やっぱ一番の注目はAF。何しろやっと猫AFがついてくれたのである。猫の瞳AF。イヤ実際には、猫の胴体・顔・瞳と認識してくれるので、遠くにいたり横を向いてたりして瞳をさっと見つけられないときでも顔を確保してくれる。これはよい。
では撮ってみようってんで、いつもの「保護猫シェルター QUEUE」にお邪魔してきた。さっそく仲よさそうにくっついて寝てるクロネコとハチワレ(名前は覚えられない)を。レンズを向けたら「気持ちよく抱き合って寝てるのを邪魔するんじゃない」という顔で睨まれた。
もう1枚。これはほわっと後ろがぼけた写真を撮ろうと、シグマの「56mm F1.4 DC DN」を装着。これ、安くてコンパクトでマイクロフォーサーズ機につけるといい感じの中望遠レンズになるのだ。
2番目の注目は連写機能。速くて賢いAFに高速連写、ってのは今のハイエンドミラーレス一眼のトレンドで、そこはしっかりおさえてほしい。
OMシリーズには「プロキャプチャー」というミラーレスならではの機能があるのだ。シャッターを半押しにしてる間は内部で超高速連写をしてて、シャッターを押しきるとその前後の数10枚を記録してくれるという、シャッターチャンスは意地でも逃さないぜ機能。
今までの機種にも載ってたけど、AF速度の問題や、撮影後にデータを書き終わるまで待たないと次の撮影に入れないという弱点もあって、いまひとつの実用性だったのだけど、OM-1は違う。
猫にAFを合わせ続けてくれるし、撮影後の処理も速いので気軽に使えるのだ。冒頭写真がそう。ファインダーを覗きながら左手で猫と遊び、猫がぱっとおもちゃに食いついてからシャッターを押せば決定的瞬間に間に合うのである。
これはヤバい。撮る人間が堕落する。堕落しすぎる。堕落しちゃえ。人は堕落するものなのだ。これなんか、猫がおもちゃを咥えたのをファインダーで確認してからシャッターを押してるからね。
こちらもそうだ。猫がさぼてんっぽい猫用の柱(なんていえばいいんだ?)に飛びついたのを確認してからプロキャプチャーで撮り、数10枚の中から選んだものだ。
こちらは伸び上がった瞬間におもちゃを動かしたから、あわてて身体をねじったの図。きりもみ猫だ。このように瞳が見えてなくても、ちゃんと猫の頭を捕まえてくれるので良いのである。
いやもう、たまらんですな、これ。欠点は、たくさん撮りすぎちゃってあとで選ぶのが大変なこと……。まあしょうがない。
今日のところはあらかじめ使って見たかった2つの機能をメインに猫と戯れたのだが、撮ってて気づいたことがある。それは、高感度時の画質がすごく良くなってること。今までは「マイクロフォーサーズは高感度に弱い」と思われていたし、確かにちょっとそうだったのだけど、今回はセンサーが新しくなって高感度にも強くなったのだ。いや強くなったとは聞いていたけど、そういうのって自分の目で確かめるまでなんともいえないじゃない。
撮ってみてびっくりしたのである。猫ちぐらの中でくつろいでた猫。ここは室内で、しかもちぐらの中なので灯りも入らなくてすごく暗い場所だ。でもすごくクッキリしっかり撮れてたのである。これは予想以上。
かくして、OMシリーズに猫認識AF機能がつき、人は無事堕落していくのであった。そんな結論でいいのか。
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筆者紹介─荻窪 圭
老舗のデジタル系ライターだが、最近はMacとデジカメがメイン。ウェブ媒体やカメラ雑誌などに連載を持ちつつ、毎月何かしらの新型デジカメをレビューをしている。趣味はネコと自転車と古道散歩。単行本は『ともかくもっとカッコイイ写真が撮りたい!』(MdN。共著)、『デジカメ撮影の知恵 (宝島社新書) (宝島社新書)』(宝島社新書)、『デジタル一眼レフカメラが上手くなる本』(翔泳社。共著)、『東京古道散歩』(中経文庫)、『古地図とめぐる東京歴史探訪』(ソフトバンク新書)、『古地図でめぐる今昔 東京さんぽガイド 』(玄光社MOOK)。Twitterアカウント @ogikubokei。ブログは http://ogikubokei.blogspot.com/
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